丸川珠代は福島瑞穂議員の質疑の後、なぜ勝ち誇ったような笑みを浮かべたのか?<なんでこんなにアホなのかReturns>

不敵に笑う丸川国務大臣

マスク越しでも笑みを浮かべているのがわかる丸川珠代国務大臣。(社民党YouTubeチャンネルより)

国会中継で見かけるハイクオリティな質疑

 国会中継をみていると、時折、「書籍化希望!」「実写化希望!」と叫びたくなるほど素晴らしい質疑に出くわすことがある。国会中継はそもそも実写なんだからそれに対して「実写化希望!」と叫ぶとか我ながら意味わからんが、とにかくそれほど素晴らしい質疑は、退屈に見えるあの国会の審議の中にも、あるにはあるのだ。  党派は関係ない。与野党の区別もない。仕事として義務のように国会中継を見るようになって五年。この五年で、自民党、立憲民主党、共産党、公明党、国民民主党それぞれの国会議員が、思わず唸ってしまうほどのハイクオリティな質問をしている姿を目撃してきた。はい。お察しの通り、維新は例外です。維新所属の議員がまともな質問をしている姿を目撃したことは一度たりともありません。揃いも揃ってソフトモヒカンでピチピチのストライプのスーツを着て鯖みたいなネクタイぶら下げて腕組んでラーメン屋の大将みたいな写真撮ってオラついてるだけ。そもそもあの人たちはなんのために国会にいるんかね。

「本になる」とさえ思った福島瑞穂議員による質疑

 残念なのは、それほどまでにハイクオリティーな質問が、年に数度見かけられるかどうかのレベルのレアケースだということだろう。去年の場合は3つ、一昨年は2つほどしかない。    幸い、今国会では予算審議が参院に移った早々、極めてレベルの高い質問と出会うことができた。3月3日の社民党・福島瑞穂参議院議員による予算委員会質問がそれだ。  福島議員の質問は午前と午後に分かれている。午前に行われた原子力規制庁に関する質問は、福島議員ならでは、六年の任期を解散なく全うできる参議院議員ならではのもので、そのロジックの堅牢さ、エビデンスの確かさは、口述筆記そのものが一冊の本になるほどのクオリティのものだった。そもそも「蓄積」の量が違う。徹底した調査によって炙り出された過去の事例、これまで自分自身が引き出してきた政府答弁の変遷、原子力規制庁をはじめとする政府担当部局の議事録などなど、福島議員は、ファクトにつぐファクトを積み上げ質問を構成し、政府から答弁を引き出していく。その議論の堅牢さには些かの隙もない。答弁に立った政府側参考人が熱心に福島議員の質問に聞き入り時には大きく頷いてその議論に同意を示していたほどだ。わずか40分ほどの間に福島議員は、見事なまでに日本の原子力行政の歪みを抉り出して見せた。  昼休みを挟んで午後の部も、福島議員の舌鋒が鈍ることはない。原子力行政の歪さを抉り出したあの隙のない堅実な議論の手法で、選択的夫婦別姓についての質問に入っていく。そしてこの問題でも福島議員は、選択的夫婦別姓制度に対する政府側の歪みを見事に炙り出した。丸川珠代オリンピック担当大臣の答弁拒否と歪んだ笑顔という形で……。
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なぜ丸川珠代は歪んだ笑みを浮かべたのか
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