厚生労働省の研究機関である国立社会保障・人口問題研究所が、国勢調査に基づいて、「結婚できる確率」ではなく、「生涯未婚率」の推計を公開しています。これは確率ではなく、統計上での割合です。なお。生涯未婚率の定義は、50歳までに一度も結婚したことのない人の割合です。
(注)実際は、45歳~49歳の未婚率と50歳~54歳の未婚率の平均をとっています。
この研究機関の発表では、2020年では男性は26.7%、女性は17.5%となっています。ちなみに、1980年の生涯未婚率は、男性が2.60%、女性が4.45%でした。いずれにしても1/2、すなわち50%からは大きく離れています。
数学の有名な問題として結婚問題というものがあります(秘書問題・最良選択問題ともいいます)。高校数学の問題として題材になることはありますが、ここでは話を簡単にするため、数値を具体的なものにして結論だけを述べましょう。
【結婚問題】
あなたは生涯を通じて、100人の異性と出会うことになっているとし、この100人に順に会って結婚相手を決めなければならないとしましょう。そこで次のような戦略を立てました。
1. 最初のk人までは必ず断る。
2. k+1人目からは、過去に会った誰よりも「良い」と感じた人が出た段階でその人を選ぶ。
この方法で、100人の中で最良の人を選択する確率が最も高くなるのはkがいくつのときでしょうか。ただし、100人は無作為に現れて、一人の人を断ってから次の人に出会うものとします。そして、一度断った人と復縁はできません。
この問題の結論は、k=37のときです。つまり、37人目まではどんな人が現れても断る。そして、38人目以降はそれまでの誰よりも「よい」と感じた人が現れればその人を選ぶことで、100人の中で最良の人を選ぶことができるというものです。このとき、最良の人を選べる確率は0.37104(37.104%)程度になりますので、意外と多いのではないでしょうか。
ちなみに、100人ではなく10人にするとk=3のとき(3人までは必ず断る)が最大で、確率0.3987(39.87%)で最良の人と結ばれることになります。さらに、10人ではなく3人にするとk=1(とりあえず一人目は断る場合)のとき確率は最大です。つまり、1人目は必ず断り、次に出会った人が最初に出会った人よりよい人であれば選び、そうでなければ3人目に託すという方法です。この方法で3人の中で最良の人と結ばれる確率は0.5(50%)です。
以上は、あくまでも数学のモデルとしての話です。実際は、人生で何人と出会うかは簡単にはわからないので、参考までです。
<文/清史弘>