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コロナショックの影響で例年の華やかさこそ欠けたものの、今年も無事に開催された第78回ゴールデングローブ賞。映画やテレビドラマの世界では最大の祭典のひとつだが、実は同賞をめぐっては、コロナ以外にもさまざまな問題が勃発している。
まずは「
このご時世にまさか……」というニュースだが、
ゴールデングローブ賞(GG賞)の母体である
ハリウッド外国人記者協会(HFPA)に
黒人メンバーが一人も(!)いないことが発覚し、大問題となった。
このニュースを報じたのは「
ロサンゼルス・タイムズ」で、さらに問題はHFPAのメンバーに多様性が欠けているということに止まらなかった。(参照:
LOS ANGELES TIMES)
というのも、『
ザ・ファイブ・ブラッズ』『
マ・レイニーのブラックボトム』『
ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』といった
アフリカ系アメリカ人をテーマとし、映画祭や批評家からも高く評価された作品が
ドラマ作品賞から漏れていたのだ。
GG賞を主宰するHFPAにダイバーシティが欠如しているだけでなく、
好評だったアフリカ系作品がノミネートすらされないという事態には批判が殺到。「
バラエティ」が報じたように、HFPAの会長が授賞式で釈明することとなった。(参照:
VARIETY)
“ショー(GG賞授賞式)のなかで、HFPAの
アリ・サー会長、
ヘレン・ホーイン副会長、
メハー・タトナ前会長がこの問題を取り上げた。
「ハリウッド外国人記者協会を代表して、今夜は世界中のアーティストの作品を祝うためにご参加いただきありがとうございます。
私たちにはやるべき仕事があると感じています」とホーイン氏は始めた。「
映画やテレビと同じように、黒人を象徴することは不可欠です。私たちの組織は、黒人のジャーナリストを受け入れる必要があります」。
タトナ氏が続けた。「また、代表者のいない
すべてのコミュニティの人々が我々のテーブルに座ることを保証しなければなりません。私たちはそれを実現させます」。
「それは、
多様なメンバーが例外ではなく、当たり前になるような環境を作ることを意味します」と、サー氏が締めくくった。「ありがとうございます。あなたたちと、そして我々も、より包括的な未来を期待しています」”
HFPAに関しては、人種的な多様性だけでなく、
組織そのものの腐敗も指摘されている。
ネットフリックスのシリーズ、『
エミリー、パリへ行く』が
HFPAのメンバーをパリに招待・接待していたことは日本でも話題となったが、「
ロサンゼルス・タイムズ」などの報道によれば、それは氷山の一角に過ぎないようだ。(参照:
LOS ANGELES TIMES)
“彼女の訴訟のなかで、
クジェルスティ・フラ氏は、HFPAが「腐敗の文化」を制度化していると非難し、
非課税組織がカルテルのようなものとして運営されていると主張した。
彼女自身を含む、
実績のある候補者を排除し、
重要なプレス・アクセスを独占しながら、
メンバーの収入には不適切な助成を行っているというのだ。
この組織では倫理的な対立が横行しており、メンバーはトロフィーを授与されたスタジオやネットワーク、セレブリティから「
数千ドルの報酬」を受け取っており、そのすべてが「
沈黙の掟」の背後に隠されているとフラ氏は主張している”
まとめると、HFPAのメンバーが固定されており、所属するジャーナリストには多額の報酬が支払われ、GG賞がロビー活動の場となっているということだ。
GG賞に限らず、
賞レースでのロビー活動はもはや公然の秘密となっているが、それによって
審査員が権力を独占し、
多様性を排除することは、もちろんあってはならない。
「
黒人審査員や作品を締め出している」という批判には、こうした汚職問題も関係しているのだ。