マドリードのPRIMARK photo by elRoce / Shutterstock.com
コロナ禍でファストファッションもネット販売が加速しているが……
ヨーロッパのアパレル業界でLow Costの代名詞的存在になっているZARAやH&Mといったファストファッションブランドもコロナ禍で大きな打撃を受けており、実店舗の削減に踏み出している。
例えば、コロナ禍でPRIMARKは
スペインの23店舗が営業に支障があり従業員が休業補償を受けている。その数は1500人だ。
ZARAの親会社インディテックスも、2月20日付の『
OKDIARIO』が伝えているように、
世界で1000店舗から1500店舗を閉鎖すると発表している。スペインの場合は250―300店舗が閉鎖になるようだ。
店の数を少なくして従業員の削減を図り、その一方でネット販売をさらに強化するという方針だ。
同記事では、
H&Mも世界で250店舗を閉鎖すると発表したことや、スペインには155店が開設されているが、それも何店かは閉鎖となるはずである、と言ったことも報じられている。
日本市場では十分に知られていないが、同じくライバルの
MANGOもネット販売をさらに拡大して、これまでの店の数を縮小して方針だ。同時に店のスペースを拡大する方向に向かっている。因みに、ネット販売の将来性を見て、ZARAなど他社に先駆けてネット販売に乗り出したのはMANGOであった。
このように、実店舗販売が縮小傾向にある一方で、ネット販売は急速に成長している。ヨーロッパでネット販売が一番発展している英国だと2005年に5.5%の成長、その10年後の2015年には17%の成長、そして現在20%の成長とネット販売の成長は留まることがない。
しかし、
PRIMARKはライバルのZARAやH&M がネット販売に益々ウエイトを置くようになっているのに、依然ショップ販売の拡大に集中している。ショップ販売に集中したデメリットは色々とあるというのにだ。
PRIMARKは今年と来年にかけて
9店舗を開設する。さらに、それによって雇用も新たに650名の採用を決めるようだ。それが進出する都市はカディス、ジロナ、サン・セバスチアン、ビルバオ、ビゴ、マルベーリャに加えてマドリードでは店舗を増やすとしている。現在までPRIMARKはスペインに57店舗を構えている。新たに進出する店舗はすべて3000平米以上の大型店となっている。
なぜPRIMARKはこのような戦略を取り続けるのか?