PRIMARKの商品は、価格帯が3ユーロから始まって、10ユーロから20ユーロの商品を多く揃えている。単価が安いのでお客が店内に入って余り考えずについつい余分に買ってしまうという心理を狙ってこうした価格設定になっているのだという。そして、店内はそれを誘うような展示と雰囲気を創作してレイアウトが組まれているのだという。これがネット販売ではできないというのがPRIMARKの考えなのだ。
更に、PRIMARKがネット販売を敬遠する理由はその価格の安さにある。ネット販売だと、それにかかる費用の比率が商品のそれよりも割高になるということなのである。しかも、必ず返品の費用を考慮すると採算ベースに乗らないということなのである。
電子紙『
Los Replicantes』(2020年7月22日付)がPRIMARKがネット販売をしない理由を次のように説明している。例えば、37.2ユーロの販売をした場合に配達費用など2.4ユーロを失うことになって利益率は40%になる。店舗での販売だとこの損失が発生しない。それがZARAの場合はこの利益率が57%、H&Mでは53%になると指摘している。この利益率の差は商品単価がPRIMARKのそれがZARAやH&Mよりも低いからだということなのである。これが商品単価がさらに低いものになるとPRIMARKだと利益効率が非常に悪くなるということ。それに前述しているように返品にかかる返送費を考慮すると赤字になる場合もあるということになる。
それに加えて、彼らの仕入れはドル通貨であるが、本部のある英国でポンドが値下がりしていることもあって為替コストも依然に比べ負担が増えているのだ。
ただ。そうはいっても顧客層が20歳台はネットで購入する場合が大半である。その場合のRIMARKは販売のチャンスを失うことになる。それも十分に承知しているPRIMARKはいずれはネット販売もやらねばならなくなると考えているようである。が、当面は店舗の大型化で市場を勝ち抜いていく方針のようである。
<文/白石和幸>