維新がぶち上げた「ファクトチェッカー」をファクトチェックしてみた

保健所業務膨大化の原因を自省せず言い訳に終始

 続いて、PCR検査の結果を知らせただけで、それからまったく連絡がなかったとツイートしていることには、このように述べています。 ”【POINT②】 ・大阪市では濃厚接触者への健康観察について新型コロナウイルス感染症の流行当初は保健所等から毎日電話連絡にて健康状態の聞き取りを行っていた。 ・しかしながら感染者数の爆発的増加に伴い、保健所等の業務量が膨大化し、業務の優先順位を検討した結果、保健所等が濃厚接触者に対して積極的に健康状態を聞き取る方式から、ご本人が異変を感じた際に保健所等に申し出て頂く受動型に切り替える判断を、大阪府において12月15日に行っている。 ・その後1月8日に厚生労働省からも濃厚接触者の健康観察について保健所等と対象者が連絡を取り合う作業の効率化や自動化を行い、業務負担の軽減を図るよう各自治体宛に通達されている。”  大阪維新のファクトチェックでは、「PCR検査調整センターから結果を知らせる連絡があっただけ」という市民の報告に対し、「こちとら業務がいっぱいで、こっちから濃厚接触者に連絡を取らないことは12月に決めとんねん。1月8日には厚生労働省も作業を効率化するように通達を出しとんねん!」と言っています。  しかし、こんなに失礼な話はありません。そもそも大阪市では、新型コロナウイルス対策よりも「大阪都構想」が優先されていました。大阪維新の会の議員たちは、連日、大阪都構想に賛成してもらえるように動いていて、まさに不要不急の住民投票を強行していたのです。それで感染者が増え、あちこちに手が回らないほど業務が膨大化してしまったのですが、「優先順位を検討した結果」として、「濃厚接触者には本人から申し出てもらうことにした」と言っているのです。  これは相当にどうかしています。「放置された」と怒っている市民に対して、「当たり前じゃん、オマエの優先順位、低いんだし!」と言っているのです。「こっちは忙しいんだから、オマエの優先順位は低い」と平気で言ってのけるのは、もはやファクトチェックではなく、「ただの失礼」。府政・市政や行政に携わる人間の市民に対する態度として適切だとは到底言えません。

現状を嘆いただけの市民を晒し上げる政党

 続いて、「市からの食料支援がない」については、以下のように回答しています。 ”【POINT③】 ・大阪市では濃厚接触者への外出自粛を要請しているが、日常的な買い物での外出は不要不急には当たらず、健康状態も無症状であることが健康観察の前提であるため、食糧支援等は行っていない。 ・他都市においても大阪市と比較的人口規模が近く感染者の多い横浜市、名古屋市、京都市、神戸市、福岡市、札幌市について濃厚接触者への支援を調査したが、いずれも14日間の健康観察とできる限りの自宅待機をお願いしているが、濃厚接触者は自宅療養者ではないため、食料支援等は行っていない旨の回答があった。”  まず、どうして濃厚接触者が隔離されることになったのかという大前提を確認していただきたいのですが、濃厚接触者は無症状でも新型コロナウイルスに感染している可能性があり、発症していなくても飛沫からウイルスを出してしまっている可能性があるから、なるべく自宅に居てもらうという話です。できることなら日常的な買い物の回数も減らしてもらい、退屈かもしれないけれど、なるべく家に居てもらうことが推奨されるはずです。「無症状なんだから、買い物に行けばいいじゃん」と言うのであれば、そもそも自宅に居てもらう必要がなくなってしまいます。だから、本来は食料を支援した方がいいに決まっています。  また、「他の都市でやってないから自分たちもやらない」というのは無能の言い訳です。他の都市でやっていないことを大阪市がやれば、大阪市は新型コロナウイルス対策をしっかりやっている自治体なんだということになったかもしれませんが、「他の自治体もやってないんだから文句を言うな」とツイートを晒し上げて文句を言うのは、ただ何もやらないよりもタチが悪いです。  結果として、ただ現状を嘆いただけで、政党によって勝手に晒し上げられたあげく、「他もやってないのに、大阪市だけ悪者にするな!」と恫喝されてしまうのですから、大阪維新の会が支配する大阪市は、ただ食料支援をしていないだけの他の自治体よりも、圧倒的にダメです。
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都合の悪いことは「デマ」扱いするどこかで見た手法
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