日本コロナ対策の大きな障壁。「コロナは風邪」な人々によるデマゴギー

トランプ支持の幸福の科学「幸福実現党」の躍進

 実は、今年に入ってから宗教法人「幸福の科学」の政治団体である「幸福実現党」が、菊川市議選、寒川町議選、西条市議選でそれぞれ当選し、今年の戦績を3戦3勝としました。  宗教法人「幸福の科学」は、アメリカのトランプ大統領を支持し、宗教を信仰していれば新型コロナウイルスに罹らない、あるいは、説法を聞くことで新型コロナウイルスが滅菌されると考えている人たちです。トランプ大統領も「コロナはただの風邪」だと主張していましたが、およそ科学の力では説明のできないことを言っている人たちに政治を託すということになってしまいます。  もちろん、世の中には「目には見えない不思議な力」を信じる人たちもいるのかもしれません。ただ、どれだけ神様にお祈りやお願いをしても、新型コロナウイルスが目の前から消えることはありません。そんなことができるのなら、みんな、とっくにお願いしているという話です。奈良時代や鎌倉時代なら、病気が流行るたびに大仏を作って、神様や仏様にどうにかしてもらおうと思ったかもしれませんが、今はそういう時代ではありません。だからこそ、有権者の皆さんには「幸福実現党」や「幸福の科学」がどんなものなのかを知った上で、しっかり判断していただきたいのです。  しかし、そんな政党が快進撃を続けており、2019年の参院選で選挙協力した「NHKから国民を守る党」が、今年に入って実質的に4戦4敗となっているのに、幸福実現党は3戦3勝。次回は3月21日投開票の北茨城市議選に候補者を擁立する計画を立てています。  それまでほとんど勝てなかった幸福実現党が躍進を遂げる背景には、幸福実現党が選挙のスタイルを変え、集落の代表者として立候補したり、事前の個別訪問を繰り返し、地域のコミュニティーに積極的に顔を出すことで、他の候補と変わらないような選挙戦略に切り替えてきたことが主な原因だと見ています。昔は公明党のように、「幸福実現党」だというだけで勝てると思っていたのだと思いますが、残念ながら、幸福の科学にそこまで多くの信者がいるわけではなかったので、看板だけでは勝てなかった。だから、無所属の候補と同じように地道なドブ板選挙をして、集落で暮らす人たちの心を掴んで、町内会のオッサンに応援されるような存在になり、選挙に立候補するようになった結果、選挙に勝つようになってしまった。逆に言うと、「幸福の科学だから投票しない」という人もそれほど多くなかったことが判明してしまったわけです。こうなってしまうと、今後は幸福実現党の候補がそれなりに勝つ可能性があり、今後も地方で議席を獲得するのではないかと考えられます。  繰り返しますが、宗教法人「幸福の科学」は、宗教を信仰していれば新型コロナウイルスに罹らない、あるいは、説法を聞くことで新型コロナウイルスが滅菌されると説いています。およそ科学の力では説明のできないことを言っている人たちに政治を託すということになる、ということを知っておいてください。

選挙ウォッチャーの分析&考察

 世の中には、いろいろな人がいます。それこそ頭の良い人もいれば、頭の悪い人もいる。新型コロナウイルスに対して科学的なアプローチで立ち向かう人もいれば、非科学的なアプローチで立ち向かおうとする人もいることでしょう。世の中に存在する分には、それぞれ自由にしたら良いという話ではあるのですが、子供たちの命や健康を守る戦隊ヒーローや、市民や国民の命を守るべき政治家が「とてつもなく頭が悪い」では困るのです。  悲しいことに、どの業界も人が足らず、こういうことにいちいちツッコミを入れる人も少なくなってしまったため、実質的に野放しになってしまいました。東京五輪の森喜朗会長をめぐるゴタゴタにしても、河村たかし名古屋市長がカラんだ大村秀章知事のリコール運動の不正にしても、緊急事態宣言が出ているのに国会議員が銀座の高級クラブで豪遊していた話にしても、みんながガタガタ言ったからこうなっているだけで、もし誰も何も言わなかったら、どれもこれも野放しになっているものばかり。間違った振る舞いに対して、みんなでガタガタ言うのは、こんな時こそ一番大事なことなのです。みんなでちゃんとツッコミを入れて、ちゃんとした仕事をしてもらいましょう。いざとなった時は、選挙で落としてやるのです。 <文/選挙ウォッチャーちだい>
選挙ウォッチャーとして日本中の選挙を追いかけ、取材しています。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどを「チダイズム」にて公開中
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