「人々が家にいれば視聴率が上がるからテレビは恐怖を煽る」論の愚
しかし、彼らはそもそも「メディアが恐怖を煽っている」と考えているので、子供たちを守るためにも真実を語らなければならないと言って、このようなデマ動画を垂れ流しています。
テレビが不安を煽れば、人々が外に出なくなり、テレビの視聴率が上がるので、わざと不安を煽っているというのが彼らの言い分ですが、リアルの世界はどうなっているのかと言うと、確かに、人々が家の外に出ることはなくなったのですが、それでテレビの視聴率が昔のように30%とか40%になっているかと言ったら、そんなことはありません。ネットを中心に、さまざまなメディアに食われていて、テレビの視聴率は上がっていないのです。
それどころか、新型コロナウイルスが蔓延したことで、あらゆる企業が儲からなくなり、CMを引き上げているため、テレビや新聞といったメディアの収益は「新型コロナウイルスの影響で一段と悪くなっている」というのが現状です。そう、テレビや新聞も、新型コロナウイルスが流行せず、今まで通りに経済が回ってくれていた方が儲かっているというわけです。そうなると、「メディアにわざと不安を煽る意味は微塵もない」ということになるわけです。
では、どうして「新型コロナウイルスに感染すると危ない」というニュースを連日のように流し続けるのか。それは、新型コロナウイルスの感染者が広がってしまうと、もっと多くの人が死に、もっと多くの人が後遺症に悩まされ、もっと多くの人が路頭に迷うからです。伝えれば伝えるほど自分たちの経営は苦しくなるけれど、伝えるのが仕事だから仕方がないのです。今までのような楽しい日々を取り戻すためには、新型コロナウイルスの感染者を限りなくゼロに近づけなければならない。そんな時に、子供たちの安全を守るべき戦隊ヒーローがデマを流しているクソみたいな現実。これはずいぶん悲惨です。
イギリス型の変異株は、従来の新型コロナウイルスと異なり、子供たちに感染しやすいのではないかという研究があります。もし、本当に子供たちのことを守りたいというのであれば、くだらない陰謀論を振りまく前に、まずは子供たちに「洗い残しのない手の洗い方体操」みたいな動画でも作るべきではないでしょうか。
今の日本は、とうとう戦隊ヒーローまでもが、子供たちに向かってデマを振りまく存在になっているのです。新型コロナウイルスが国内に蔓延するようになって1年以上経つのに、まだ日本はこんな状態なのですから、そりゃ政治がちっとも良くならないはずです。
子供たちの安全を守るはずの戦隊ヒーローが、デマを垂れ流す国・ニッポンでは、いまだに独特な主張を続ける政治団体が、自らの主張を広めるために選挙を利用しようと企んでいます。
昨年7月の東京都知事選に「コロナはただの風邪」と主張して立候補した国民主権党の平塚正幸が、今度は3月4日告示、3月21日投開票の千葉県知事選に立候補し、「マスクを外そう」と書かれた選挙カーを千葉県内に走らせようと計画しているのです。現在、供託金の300万円をはじめ、選挙活動に必要な費用をカンパで集めているのですが、わずか数日で240万円以上が集まっていて、この記事が世に出る頃には達成しているかもしれません。これは平塚正幸の主張に賛同し、お金を出す人が全国にたくさんいる証拠です。
実は、4月25日に行われる茂原市議選にも候補者を候補者を擁立する計画になっている「国民主権党」。どうやら事前の説明会では、定数22に対して、かなり多くの陣営が集まったといいますが、説明会に集まる人数が多い場合、逆に断念するケースが多くなり、蓋を開けてみたら、ほとんど候補者がいなかったということがよくあります。なので、こんなメチャクチャな主張をしている人であっても、一定数は「コロナはただの風邪」だと思っている人はいるので、うっかり票を取ってしまう可能性も否定できません。政党っぽい名前がついているだけで、ただの迷惑集団だと思いきや、本当に政治的な動きをしようとしていますので、今後も警戒が必要です。