厳冬とマスク疲れで感染者が急増中。ワクチン接種拡大の障壁も……。東欧春のコロナ事情
日本では、なんら効果的な対策を打てず、相変わらず統計データも疑わしいまま緊急事態宣言の解除が検討され始めているが、欧州も春が近づき寒波のピークこそ過ぎたものの、いまだにコロナショック終焉の兆しは見えない。
現在、筆者が在住している東欧・ポーランドでは、数年ぶりの本格的な冬が終わろうとしている。
一時はマイナス20度近くまで下がっていた気温も、日中はプラス15度程度まで上昇。あとはコロナが収束すれば、いよいよ春……。だが、肝心の感染者数は一向に減る気配がない。
長期間のロックダウンの効果もあり、昨年11月から今年の2月半ばまでは順調に減っていたポーランドの感染者数だが、一日約5000人にまで下がっていた数値は、再び約1万2000人まで急上昇。「春になればロックダウンも終わりか……?」と噂されていたが、どうやらその夢は幻に終わりそうだ。
こうした状況を打開するには、日本でも効果が期待されているワクチンがカギとなる。しかし、医療関係者や高齢者を皮切りに接種がスタートしたものの、現地の人々の表情は浮かない。
「ウチの親(60代)も摂取しましたけど、我々30代や若者にまで行き渡るのは、早くて今年の後半じゃないですかね。このペースじゃ、ワクチンの効果が出るのは当分先だと思います」(30代・男性)
また、接種のスピードだけでなく、それ以外の面でも不安は残る。
「ワクチンは60%以上の人が接種しなければ意味がないと言われています。ところが、副作用などを気にして躊躇している人が多いんです。『政府にコントロールされる!』『急いで作ったワクチンなんて、あとから何が起きるかわからない』と、まるで中世ですよ」(40代・男性)
実際、筆者の周りにも、ワクチン接種に懐疑的な声は少なくない。ワクチン治療は効果的ではあるものの、政府と国民の間に信頼関係が構築されていることが前提だ。それゆえ、一概に「ワクチンを恐れる人」だけを批判することはできない。しかし、こうした人々が大勢いる限りは、たとえワクチンを求めている人に行き渡ったところで、水の泡となってしまう可能性も否めないだろう。
ワクチンの配布と接種が滞るようであれば、今まで以上に一人一人の感染防止策が重要となるが、こちらも見通しは暗い。前述のようにポーランドではだいぶ気温が上昇してきたが、それに比例してマスクを外している人も増えているのだ。
食料品などお店での買い物はもちろん、本来であればマスクなしでは外を出歩くことすらできないのだが、そんなルールは何処吹く風。警察に見つかれば罰金を払うことになるが、「マスクずらし」どころか、そもそも着けていない人も多く見かける。
「暖かくなったので子どもと公園に出かけたんですが、マスクを着けていない人だらけで驚きました。昨年、春のロックダウンでは森や公園ではマスクなしでも大丈夫だったので、『また制限が解除されたのかな?』と思ったぐらいです。
人気のないところでマスクを外している人は以前からいましたが、通り過ぎるときぐらいは着けていました。今ではそれすらなく、街中でも外している人が増えていて呆れます」(30代・女性)
自粛疲れと越冬でストレスが溜まっていることは容易に想像がつく。久々の厳冬のあととなれば、なおさらだ。
しかし、こうした緩みが事態を長期化させてしまうことは説明するまでもない。ポーランドではフェイスガードや布マスクを禁止し、高性能マスクの着用を義務づける動きも出ているが、はたして感染爆発までに間に合うかは微妙だ。
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厳冬でマスク疲れにウンザリ
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