米寒波災害の中、バカンスで炎上する共和党大物議員。その一方でAOCの迅速かつ現場主義の行動が賞賛

お膝元の災害で手のひらを返したクルーズ議員

 いっぽう、テッド・クルーズ議員の失態については、「ニューズウィーク」が以下のように報じている。(参照:Newsweek)  “クルーズ氏に批判的な人の多くは、彼が2012年のハリケーン・サンディの壊滅的な被害を受けたニューヨークが連邦政府の資金を受け取ることに反対票を投じたことを指摘している。いっぽうで、彼の州は現在、連邦政府の助けを求めて嘆願をしている”  “「テッド・クルーズはニューヨークのサンディ救済に反対票を投じた。ニューヨークの下院議員AOCは、テキサスの組織のために300万ドル以上を集めたばかりだ」と政治評論家のブライアン・テイラー・コーエン氏は土曜日に述べた”  トランプ退陣の際、厳しい対応をしなかった姿勢が批判を浴びるなか、共和党にとっては再び「お寒い」ニュースとなってしまった。  これまで強力な支持基盤を築いてきたテキサス州で、民主党の、それも縁もゆかりもないニューヨーク出身のプログレッシブ議員が、地元の人々と汗を流すなか、家族旅行に明け暮れていては無理はない。過去には他州の災害支援策を批判しておきながら、連邦政府にすがる姿は、有権者の目にはどう映ったのだろうか。

自宅前でマリアッチ・バンドが怒りのライブ

 大慌てで旅行を中止したクルーズ議員だが、冷え切った世間の目から逃れるのは容易ではない。早くもテキサス州では、「手厚い歓迎」が行われた。「カンクン旅行が議論を呼ぶなか、テッド・クルーズ上院議員宅の前でマリアッチ・バンドが演奏」とその様子を報じたのは、「NME」だ。(参照:NME  “共和党上院議員は先週、テキサスの災害危機の最中、家族をメキシコに飛ばしたことで広く批判された”  “クルーズ氏は先週、何百万人もの人々の電力と水の供給に打撃を与え、テキサス州を苦しめた致命的な冬の嵐の間、彼の家族をメキシコの街に飛ばしたことで大炎上している。カンクンに飛んだあとの木曜日(2月18日)、テキサス州に戻ったクルーズ氏は、娘たちのために「よい父になりたい」と休暇を計画したが、「正しいことであるように感じなかった」ので戻ってきたと記者団に語った”  「家族サービスが理由」と娘たちを盾に取った言い訳はやはり苦しかったのか、結果はご覧のとおり。マリアッチ・バンドの調べを耳にしたクルーズ議員は何を思っただろう。  大統領選の騒乱、連邦議事堂襲撃事件、そしていまだに終わりが見えないコロナショックと、次々試練が押し寄せるアメリカ政界だが、テキサスへの寒波襲来については、民主党に軍配が上がったと言わざるを得ない。  AOCを含むプログレッシブ議員たちに対しては、前出のとおり民主党も一枚岩ではないが、身を以て支援にあたる彼らの声は、これからも重さを増していくだろう。 <取材・文・訳/林 泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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