11月25日の幸福の科学系デモは300人程度。11月29日の「トランプ米大統領再選支持集会・デモ実行委員会」によるデモはゆうに1000人は超えているのではないかと思える規模だった。29日のデモには、一部の幸福の科学信者も参加していた。さらに12月23日の幸福の科学系のデモは、11月25日と比べて2倍ほどに膨れ上がっていた。
その上で開催されたのが、バイデン氏の勝利を米連邦議会が承認する(つまり議事堂突入事件が起こる)直前、日本時間で1月6日の夜に日比谷から銀座にかけて練り歩いた
「最後の戦い」のデモ行進だ。
主催は
幸福の科学系の「トランプ・サポーター・イン・ジャパン」。同じく
幸福の科学系「チェンジジャパン」と、
サンクチュアリ協会や新中国連邦と接点がある「トランプ米大統領再選支持集会・デモ実行委員会」とが、共催として名を連ねた。
つまり、これまで別々にデモを開催してきた
2大勢力が名実ともに結集したのである。
当日、日比谷公園に集まった数は、11月29日の「トランプ米大統領再選支持集会・デモ実行委員会」よりやや少ないように思えたが、それでも1000人近く。幸福の科学系単独のデモより明らかに多い。
新中国連邦の旗は見当たらなかったが、これまで「トランプ米大統領再選支持集会・デモ実行委員会」のデモで掲げられていたプラカードや横断幕と、幸福の科学系デモでのそれとが混在している。
周囲では法輪功が新聞配布と取材に勤しんでいる。これまで
双方のデモに参加してきたヘイトスピーチ活動家氏の姿もあった。
「最後の戦い」にふさわしい、「
Jアノン・オールスター」の布陣だ。
デモの主力が宗教団体であるからか、その主張にも、宗教的な要素がちらほら見受けられる。
昨年の首相官邸前集会では、演説で “
悪魔の勢力共産主義”“「天倫、人倫に反する共産主義は、70年ないしは73年を超えることが出来ない」という天理があります” “(バイデン氏は)神様を騙し、世界を騙した自分の悪事、自分の罪により、地獄に堕ちるのみなのです!”などという内容が語られていた。共産主義は73年もたないという趣旨の具体的な内容には、伝統宗教や、多くの人々が漠然と共有する宗教意識とは明らかに正確の違う宗教色を感じるが、現時点では出典はわかっていない。
昨年11月の「トランプ米大統領再選支持集会・デモ実行委員会」のデモでは、聖書に「
神のラッパ(the Trump of God)」としてトランプの名が登場するとして、聖書のその部分を引用した横断幕も登場した。幸福の科学系のデモでは、行進前に祈りを捧げる時間が設けられ、主催者や関係者が演説等で信者であることを毎回告白する。
1月6日の「Jアノン・オールスター」デモにも、聖書を引用した横断幕が持ち出されていた。それより驚いたのは、デモも終盤に差し掛かった頃、先頭でシュプレヒコールをリードしていた
古山氏(幸福の科学信者)が、マイクでこう叫んだことだ。
「
ウィズ・セイビア~!」
当然、デモ隊も「ウィズ・セイビア~!」と、これに応える。
「ウィズ・セイビア」とは、昨年からの
幸福の科学のキャッチコピーであり、年末に行われた教団の恒例行事「エル・カンターレ祭」での
教祖・大川隆法総裁による講演のタイトルである。同タイトルの宇宙人霊言本も出版されており、やはり同タイトルの歌(作詞・作曲大川隆法)を長女の咲也加氏が歌うCDも教団から発売されている。
日本語に訳せば「救世主と共に」。幸福の科学における救世主とは、言わずと知れた大川総裁である。
繰り返すが、これは「Jアノン・オールスター」デモである。「幸福の科学のデモ」ではない。
幸福の科学の信者ではない人や他の信仰を持つ人達もいる。そんなデモ隊に、主催団体の代表者である幸福の科学信者が、大川総裁賛美のシュプレヒコールを叫ばせたのである。