開催まであと5か月だというのに、いまだ正式に開催決定がアナウンスされていない状況だ 写真/Shutterstock
アメリカが態度を決めかねるなか、反対にやる気満々なのはもう一方の大国・中国だ。中国人ジャーナリストの周来友氏は言う。
「先日、バッハ会長と習近平国家主席が電話会談をし、’22年の北京冬季五輪の開催について条件が整ったと世界にアピールしました。北京五輪を開催するためには、東京五輪は絶対、中止にしたくない。東京五輪が成功したら、北京へとスムーズに繋がりますし、参加国減少や無観客で禍根を残しても、北京で成功させて『社会主義の勝利』を宣言できます。
結果はどうなってもいいので開催してほしいというのが本音でしょう。選手団も一人欠けることなく派遣してくると思います。各国の選手がいないなか、東京五輪は日本と中国の選手だけの“運動会”になる可能性もありますよ」
前出の平尾氏は最後にこう締めくくる。
「コロナ禍は、“平和の祭典”の皮をかぶって金儲けをたくらむ五輪というものの本質をまざまざと露呈させました。東京五輪中止にとどまらず、五輪の廃止を含めて見直す時期に来ていると思います」
開会式は5か月後に迫っている。
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アメリカ……水泳競技の選考会で参加者が半数以下に
アメリカ水泳連盟は、感染拡大により選考会の規模を大幅に縮小すると発表。750人の選手のうち半数以下での選考会になると発表した(『ワシントン・ポスト』1月27日付)
ドイツ……ドイツの五輪候補の72%がワクチン優先接種に反対
ドイツオリンピックスポーツ連盟の調査で、東京五輪への参加予定676人の選手のうち72%がワクチンの優先接種に反対していることが判明(『inside the games』2月6日付)
イタリア……アスリートへの優先接種は要求しないとの方針を発表
イタリアオリンピック委員会は、選手に優先接種することを要求しないと表明。「高齢者には20歳のアスリートより先に接種する権利がある」とも(ロイター通信1月31日付)
フランス……ワクチンを打たない選手の五輪出場は難しいと発言
仏オリンピック委員会の会長は「ワクチン接種を受けていない選手は日本入国後2週間隔離となり、朝晩PCR検査が必要」との見解を示した(AFP通信1月26日付)
ウガンダ……唯一の競技場が病院になり、選考会が行えない状態
アフリカのウガンダでは国内唯一のナンブールスタジアムがコロナ患者専用の病棟になったため、陸上などの競技の選考ができない状態となっている(『Dairy Monitor』2月2日付)
イギリス……ボクシングの五輪欧州予選を中止すると発表
IOCのボクシングタスクフォースは、EU各国と英国の往来が規制されていることに鑑み、ロンドンでの東京五輪欧州予選を中止すると発表した(ロイター通信1月30日付)
ドイツ……フェンシング代表が出場辞退を示唆
五輪に2度出場しているフェンシング・ドイツ代表のM・ハルトゥング選手は、「パンデミックを助長すると感じれば家にとどまる」と辞退を示唆した(時事通信1月12日付)
ニュージーランド……オリンピック委員会が選手の辞退を容認
ニュージーランドオリンピック委員会は「出場を辞退する選手が出てもやむを得ない」と辞退を容認する考えを示した。同国からは200人の選手が出場予定(共同通信1月27日付)
<取材・文/慎 虎俊 奥窪優木 児玉ジン>