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女性蔑視発言で辞任に追い込まれた、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長。後任に挙がっていた川淵三郎氏が受託を断るなど、事態はますます混乱に陥っている。
ご存知の方も多いだろうが、これまでの流れをおさらいしよう。
森喜朗会長が「
女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」などと発言、翌日には「不適切な表現であったと認識しています。深く反省しております。発言は撤回したい」と述べた。
しかし、世論調査の結果は、「
大きく問題がある」「
やや問題がある」と感じている人は合わせて
91%、「
謝罪会見に納得していない」が
77%(「納得している)は17%)、森氏は「
辞任すべき」は
59%(「辞任する必要はない」は32%)と、深刻な問題であることを示している。
オリンピック・パラリンピックは、「
いかなる差別をも伴うことなく」連帯の精神をもって相互に理解し合うことを
憲章として掲げている。憲章とは、
組織が果たすべき目的のもっとも重要で根本的なことを定めた取り決めだ。
森会長が発した言葉は、この
目的に明らかに反した、それも真逆の発言だ。
組織委員会にせよ、いち企業にせよ、
リーダーの発言が適切かどうかは、組織の目的に適う発言かどうかで測ることができる。加えて、仮に組織の目的に対して若干のズレが発生していたとしても、
緊急性や
貢献の観点から許容できるかどうで検証することができる。
たとえば、「
顧客第一」ということを企業の根本的な目的として定めた企業が
製品の不具合を隠ぺいしていたら、それは明らかに
顧客に不利益を与え、
「顧客第一」とは真逆の行為ということになる。
加えて、これを陰であろうが表であろうが、仮に「
顧客が製品の不具合をクレームしてきて困る」などと言っているリーダーがいようものなら、その
組織のリーダー失格どころか、その
組織にいてもらっては組織の目的に逆行するという事態になることは明白だ。
森氏のケースはこのレベルの深刻な問題なのだ。