「視聴者ファースト」の目線はどうしたら定着するのか
あの頃、デスクをしていた私の同期の記者がよく口にした。
「俺たちのお客様は、受信料を払って下さる視聴者の方々だ。お客様を大切にしないでどうする」
この意識がNHKの全職員に徹底されれば、視聴者の皆さんの信頼も増すというものだろう。このように職員が受信料のありがたみを実感する機会はあるのだが、数日の営業研修ではまだまだ不十分だとの批判があるかもしれない。
やはり以前の記事で筆者が提言したように、報道と営業のトップ人事を入れ替えるなどの大胆な方策が必要だと思う。何年か本気で営業職場で取り組めば、「視聴者ファースト」の目線がもっと定着するかもしれない。受信料の集め方、受信料の仕組みがどうあるべきかについては、後日また改めて記事を書きたい。
受信料といえば、支払い額についても大きな要素だ。放送内容に見合うものになっているのか? いくら品物の質が良くても、こんなに高いなら買わない、というのは日常生活ならよくあることだ。
受信料は払い方によって異なるが、衛星契約で1年間一括払いだと約2万4000円だ。この金額が高すぎるという議論は常にある。これが高いか適正かは、いただいた受信料がどのように使われているのかという要素も大きいだろう。
そこで次回の記事では、私の知る範囲で「受信料の使い道」をお知らせしたいと思う。私の知見はNHKの中でも報道の世界にほぼ限られる。技術関連、営業関連(受信料対策)の経費もかなりの額に上るはずだが、これらの使い方は私にはわからない。
私がよく知る取材費は、批判の多いタクシーの使い方や、「高すぎる」と言われることの多い職員の給与についてなど。それが公共放送としてふさわしいかどうかを、私自身の実例を元にお伝えしたい。
【あなたの知らないNHK 第6回】
<文/相澤冬樹>