チビテ州知事の発言に激怒したのがパンプロナ市の市長エンリケ・マヤであった。この祭りを開催するしないの決定は市長に委ねられており、州知事ではないということ。市長がまだ開催しないと正式に決めていないのに、州知事の方で軽率は発言は慎むべきだというのが市長の意見であった。
その憤慨をスペイン通信エウロパ・プレスに次ぎのように語っている。
「(彼女の発言を聞いたあとの)私の反応は自分でも驚くほどで深い憤りであった。州知事が彼女の領域ではない役目を侵害するということがどうして可能であろうか」
開催期間中の保健衛生面は州政府が担当することになっているが、祭りそのものについての一切の決定は市長の権限に委ねられているからである。(参照:「
Diario la Vasco」)
マヤ市長が憤慨していることを知ったチビテ州知事は同日午前中に同市長と電話会談をしたそうだ。それで相互に了解したという。
しかし、現実問題として開催できるのか否かという点について両者はそれぞれ機会あるごとに開催の難しさをこれまで示唆して来ている。7月6日から開催が予定されているが、現状のスペインの感染状況から推断して開催するのはほぼ不可能というのが現実的な見方であろう。
英国からのコロナ異変種の感染拡大が懸念され、ワクチン接種のスピードも遅れている。6月末までにサン・フェルミンが開催できそうな要因は全くない。
3大祭り以外にも開催期間を遅らせた展示会もある。観光国スペインが例年1月に開催していた国際観光展示会は5月に、また国際現代美術展は7月にそれぞれ延期されている。またモバイル・ワールド・コングレスも3月から7月に延期された。
しかし、どれも延期された期間での開催もほぼ難しくなっている。ということから、今年もサービス産業がスペインのGDPで大きく貢献して来たが、昨年同様に今年もこの分野での進展は期待できそうにない。
<文/白石和幸>