「免許を返納しても、タクシー運転手は年上」高齢化が進むタクシー業界の実情
タクシー業界の風景は日本の社会問題の縮図
若者に敬遠され、人材不足に喘ぐ業界を支えているのは高齢ドライバーなのだ。現役ドライバーの高田正之助さん(仮名・71歳)が話す。
「中小の会社だったら、60歳手前でも二種免許の費用を会社が負担し、待遇も正社員。一応、定年は65歳。でもその後も1年ごとにアルバイトで働けるので、自ら二種免許を取得して面接に行けば65歳でも採用される。高齢だからといって、運転の技術の高いベテランとも限らないんです。借金を抱えている人も多く、60歳を過ぎて40万~50万円稼げる仕事なんて他にはないから、なかなかやめられないのも事実です」
コロナ禍での接触事故を機に、タクシードライバーを引退した芹沢時貞さん(仮名・79歳)はこう打ち明ける。
「事業に失敗し、50代後半からタクシー運転手に。国民年金ではとても生活できず、70歳を超えてもタクシーを続けた。タクシーに事故はつきものだけど、70代後半になると、夜は目が見えなくなるし、判断力も鈍って、つまらない事故が増える。コロナで水揚げ(売り上げ)も減り、早い者勝ちの配車アプリの呼び出しに焦ってしまった。無理な運転で、ガチャンと。まあ、潮時です。10年遅かったけど(笑)」
タクシーのバックミラーには時代が映る
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