どんな物件があるのかを調べ、時代の空気を読む。それがアフターコロナのREITの攻略法だ。では、REIT初心者はどんな銘柄を選べばいいのだろうか。今回取材した識者全員が、絶対に買うべき銘柄として、2つの銘柄をあげた。
「『ジャパンリアルエステイト投資法人』と『日本ビルファンド投資法人』です。この2つは’01年にREITがスタートしたときに誕生した2銘柄です。 前者は三菱系で旗艦物件は汐留ビルディング、後者は三井系でNBF大崎ビルが中心となっています。そのほかどちらも都心の再開発エリアに位置する一等地のビルを持っており、格付け会社の評価も高い(R&IからはどちらもAA評価)、超優良銘柄なのです」(櫻井氏)
コロナ禍の落ち込みもあり、どの銘柄も割安感が強い。REITを始めるなら、今が絶好のチャンスだ。
ジャパンリアルエステイト投資法人【8952】
時価総額 860,215百万円 NAV倍率 1.06倍 利回り 3.51% 価格 62万1千円 分配金 1.1万円(20年03月) 1.1万円(20年09月)
汐留ビルディング
三菱地所がスポンサーのオフィスビル特化型J-REIT。資産規模は1兆円を超え、日本銀行が投資口7%以上を保有している。約6万人が働く汐留ビルディングのほかに、西新宿にある東京オペラシティなど、都心の一等地にあるオフィスを持っている。「入居率は99%を超えており、都心のオフィスは堅実」(雨宮氏)
汐留ビルディング
日本ビルファンド投資法人【8951】
時価総額 1,006,373百万円 NAV倍率 1.08倍 利回り 3.72% 価格 60万9千円 分配金 1.1万円(19年12月) 1.1万円(20年06月)
NBF大崎ビル
略称はNBF。三井不動産を中心とするオフィスビル特化型REITで、日本で初めて資産規模1兆円を達成した。旗艦物件はNBF大崎ビルだが、新宿三井ビル、六本木ティーキューブなど71物件を有している。「ジャパンリアルエステイトとも迷うが、設備開発に積極的な点では日本ビルファンドに軍配が上がる」(窪田氏)
NBF大崎ビル
※NAV倍率とはJ-REITの銘柄の割安・割高を知るための指標
※株価等は1/28時点のものです
雨宮京子氏
【経済ジャーナリスト・雨宮京子氏】
元カリスマ証券レディ。日興證券時代は全国トップの営業実績を持つ。株式業界33年目で「銘柄発掘は足で稼ぐ」がモットー。「株のお姉さん」としてわかりやすく解説。日経CNBCに出演中。著書に『
世界一わかりやすい株の売り方』(フォレスト出版)
櫻井英明氏
【「兜町カタリスト」編集長・櫻井英明氏】
ストックウェザー『兜町カタリスト』編集長。日興證券で機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly」編集長を経て現職。広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評がある
長嶋修氏
【不動産コンサルタント・長嶋修氏】
業界初となる不動産コンサルティング会社「
さくら事務所」会長。NPO法人日本ホームインスペクターズ協会初代理事長。著書に『
はじめての知的不動産投資「サラリーマンでもできるアパート・マンション投資』(明日香出版社)
窪田真之氏
【楽天証券経済研究所長・窪田真之氏】
楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト。日本証券アナリスト協会検定会員。1000億円以上の大規模運用で好実績をあげてきたスペシャリスト。投資情報を発信するメディア『トウシル』において「
3分でわかる今日の投資戦略」を連載中
<取材・文・写真/佐賀旭 西野健 イラスト/香川尚子>