素人がエロ動画を配信するサイトといえば、かつてはFC2の独り勝ちだったが、現在はプラットフォームも増えた。
ポーンハブ上にも、女性が個人で撮影したり、風俗店が制作したオリジナル動画が販売されているが、世界的に18禁の課金型SNSが流行中だ。
MARICAさんも利用している「OnlyFans」(英国)は、コロナ禍で欧米のセックスワーカーやポルノ女優たちが大量に参入し大ブレイク。昨年8月には歌手のベラ・ソーンが1週間で2億円を稼いだことで話題になった。
国内では、同様のプラットフォームに「オヒネリ」がある。人気AV女優・北条麻妃さんは言う。
「AVとは違う部分の私を見せられたらいいなと思って始めました。家で自撮りしているのですが、AVとは違って、ファンとの距離の近さがありますよね」
ファンの反応も上々。特にコロナ禍で家から出なくなり、人と話す機会が減ったというファンから「配信を楽しみにしている」という感想を多くもらったという。
「オヒネリ」には他のAV女優も続々と参入しつつあるようだ。
ポーンハブの健全化に、配信プラットフォームの多様化――今年、ニッポンのアダルトシーンは大きな地殻変動を迎えそうだ。
大槻ひびきさん
ポーンハブ一斉削除をAV女優たちはどう見ているのか。デビュー13年のベテラン女優・大槻ひびきさんに話を聞いた。
「1000万本!? そんなに消えたんですか。嬉しいですね。特に若いファンから『いつも無料サイトで見てます!』と言われることが多くて……」
ユーザー本人も違法サイトと知らずに利用しているため、悪びれずに伝えてくるという。
「その都度『違法サイトで見るとメーカーさん、販売店さん、女優のみんなが困ってしまう。AVを作れなくなってしまうから、正規店で買ってほしい』とお願いしていたのですが、何年たっても状況は変わらないので困っていました」
違法サイトの跋扈により新しい作品の制作本数が減り、仕事をしたくてもオファーが入らず、志半ばに業界を去っていく女優も少なからずいるという。
「これを機に悲しい引退がなくなるといいなと願っています」
当たり前だが、AVも制作費をかけて作られる商品であり、人件費だってかかっている、れっきとした「作品」であり「売り物」なのだ。
【大槻ひびきさん】
’08年デビュー。キカタン女優として累計2000本近い作品に出演。「DMMアダルトアワード2016」最優秀女優賞を受賞。ファンからは“ひびやん”の愛称で親しまれている。
<取材・文/中山美里(オフィスキング)>