起業家との二人三脚はエンジェル投資のもう一つの醍醐味!? 現役投資家が語る、成長株を見つけるコツ
アパートの一室で起業した会社が、数年後に時価総額・数百億円に――そんなことが当たり前の時代だからこそ、スタートアップ企業への投資熱が高まっている。10万円から夢が見られる「エンジェル投資」の醍醐味とは? 現役投資家にその極意を聞いた。
外資系サラリーマンとして働く坂本達夫氏は、これからのエンジェル投資家のロールモデルとなる存在だ。起業や経営の実績を積んだ上で投資家となるエンジェルが多いなか、そうした経験が一切ない。
「5年ほど前、新卒で同期入社だった楽天の三輪謙二朗さんが始めた家電のお試しレンタルサービス『Rentio』に、友達のノリで100万円ほど資金援助しました。同時に、Rentioがベンチャーキャピタルから資金調達を受け、事業が急成長し始めたんです。すると起業家の間で“坂本って誰だ?”と噂になり、知名度が勝手に上がったようです(笑)」
成り行きで始まった投資だが、すでに40社ほどに投資。今は20万~50万円の手ごろな投資がメインだとか。
「給与に手を付けるのを妻から禁止されたので、副業で稼いだお金をコツコツためて出資しています。ここ1、2年は、年間で5~10社ペース。上場やバイアウトまでには時間がかかるので、金銭的なリターンはまだ得られていません。ですが、期待できそうな企業がいくつかあるので、そうなれば総投資額の20倍以上のリターンは見込めそうです」
少年のように目を輝かす坂本氏は、どうやって有望株を発見するのか。
「事業に専念するにはランニングコストはかかるので、1回で1000万円以上の資金調達が可能かどうか。これを足切りラインにしています。ハイキャリアの経営者に出資して打率を高めるという手法もありますが、僕も現役のサラリーマンとして、どんな優良企業にもポンコツが一定数いることは知っていますから、創業者のキャリアは参考程度ですね」
だが、出資を決めたら自身の知識やスキルをつぎ込むのが坂本流。
「若いステージのスタートアップは誰にも見向きもされない存在。だからこそ、ハンズオンすることで喜ばれるし、縁が広がって優良な投資案件が舞い込んできます。エンジェル投資家の入り口は、クラウドファンディングでも何だっていい。むしろ、投資してからどれだけ共感し合えるか。そうすれば勝手に最新の専門知識は増えていくし、裏切りやリストラの断行など生々しい経営ドラマを、サラリーマンをしながら砂かぶり席で体験できる。ビジネススクールに通うよりも断然面白いし、価値があります」
波乱の起業を疑似体験。エンジェル投資はエンタテインメントでもある。
<私の流儀>
上場の夢、生々しい経営ドラマ。お金以外の価値を味わい尽くす
起業家との二人三脚は金銭的リターンより価値あり
どうやって有望株を発見する?
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