一方で、経営者の実務能力に目を向けているのが実業家の傍ら、エンジェル投資家としての顔を持つ増田裕介氏だ。
「かつて業界でカリスマと呼ばれた起業家に仲間内でひとり500万円ずつ投資したことがあります。ですが、翌月に彼はタワマンに住み始め、問い詰めても『ブランディング戦略のひとつ』の一点張り。
結局、半年後に事業は頓挫して彼は消息を絶ち、500万円も丸損。この経験から得られた教訓は資金感覚、つまりコストとファイナンスの意識と知識を持っているかどうかが、投資判断の重要な要素ということです」
最後に、エンジェル投資という言葉が社会に浸透する以前からスタートアップ企業への投資を行っていた高野秀敏氏は、エッセンシャルワーカーに投資したいとも。
「投資家や経営者は現場感に疎いので、最前線で働くエッセンシャルワーカーやひとつの業界や部署に精通するプロフェッショナルに魅力を感じやすい。
ただ、現場の人間というだけでは不十分で、周囲に『独立するなら一緒に』といわれるような人望と実績があれば、投資に値しますね」
アイデアやビジネスプランを練るより、まずは自分を磨くべし。
坂本達夫氏
【坂本達夫氏】
北欧企業Smartly.ioの日本事業責任者。スマートフォンアプリの企画やマネタイズなどが得意。
【守屋 実氏】
ラクスル、ケアプロなどの創業に参画。著書に『
新しい一歩を踏み出そう!』(ダイヤモンド社)
【増田裕介氏】
経営、投資などを学べるオンラインスクール「
ROS」を主催。
【高野秀敏氏】
独立系キャリアコンサルタントとしても活動。起業やスタートアップ関連の講演回数は100回超。
<取材・文/谷口伸仁>