アルゼンチンの首都、ブエノスアイレス。photo by Herbert Brant via Pixabay
昨年12月4日、
アルゼンチンの上院で「
連帯による特別支援金の給付法」が賛成42票、反対26票で可決して合法化された。これはコロナ禍による経済的並びに社会的に被った損害に対し、アルゼンチンの超富裕者から「富裕税」を徴収してその損害を補填して行くとする法律である。
アルゼンチンはラテンアメリカで1月中旬のコロナ感染による感染者数はブラジル、メキシコ、コロンビアに次いで4番目に位置し、死者数では3番目に多い4万5000人となっている。
経済面から見ると、現在のアルゼンチンはIMFに440憶ドルの返済を含めた負債総額は3231億9200億ドルを抱え、それはGDP比90%に当たる。また昨年のインフレは36%で、同じくGDPは前年比12%の後退。更に、昨年の政府の歳入は1973年のそれに相当するものだという大幅な減収で、アルゼンチンは財政面で非常に厳しい状況下に立たされている。〈参照:「
Semana」〉
この影響もあって、昨年の消費は28%の落ち込み、
最近4年間の富裕層と貧困層の所得格差は16倍から21倍に広がった。貧困者は1600万人、極貧者は400万人。
人口4500万人のアルゼンチンのそのほぼ半数近くが貧困層にあるということだ。
そのような状況下で今回のコロナ感染拡大はアルゼンチンをさらに貧困化へと導いている。そうはいっても、コロナ禍から国を回復させねばならない。ところが、このような後退している経済にあって回復の為の必要な資金を集められる手段がない。
そこでアルゼンチン政府は歳入が見込める唯一可能な方法は超富裕者から支援金を募ることであると考えるようになったのである。