テレワーク時代の不動産投資は郊外か、それとも都心か

AIを駆使する投資家・李天琦氏

李天琦氏

李氏が開発した物件検索システム「GOD AI」。すべての物件がお値打ち度に応じて「A+」~「C」にスコアづけし、1日1万件以上の物件の資産性を自動で精査している

 一方、独自開発したシステムにより超割安物件を選び抜き、個人だけで都心一等地の区分を10室以上保有、家賃収入は1000万円を突破。卓越した頭脳を武器に、誰よりもロジカルに投資に取り組む李天琦氏は、また違ったビジョンを語る。 「新規と価格変更を含めると毎日、1万~2万の物件情報が出てきますが、僕が投資を検討する物件情報は平時だと東京全域で1日あたり5~6件程度。それが自粛期間の4~6月には1日20件くらいに急増しました。コロナによるパニック売りや民泊の撤退売りがあの頃は相次いでいましたね」

わずか数か月でさらに約1億円分の投資を敢行

 コロナ禍の混乱に勝機を見出し、わずか数か月で個人・関連法人でさらに約1億円分の投資を敢行したという。 「物件価格を決める一番の要素は『立地』で約50%、次が『築年』で約30%です。気にされる方も多いかもしれませんが南向き、間取りといったスペックの違いは資産価値に1%程度しか影響しません。そうして真に資産性に優れている物件を探すと、必然的に投資すべきは『都心メガターミナル周辺の築古マンション』になります。投資利回りはまちまちですが、基本的には8~12%ほどです」  たとえ生活様式に“ニューノーマル”が訪れようとも、李氏は投資のスタンスを変えることはないと断言する。 「今後、働き方に変化が生じたとしても、仕事が完全にリモートに置き換えられることはありえないことは海外の先行事例からも実証されています。売買データで見てもすでに都心の取引量は回復していますし、長期的視点に立てば、都市部にはまだまだ伸びしろがあるのは明らか。特にメガターミナル近辺は今後、超高層ビルが立ち並び、エンタメや商業が街の価値をさらに上げるはずです」  地方や郊外への投資だけがテレワーク時代における“正解”ではないのかもしれない。 【オラガ総研株式会社代表取締役・牧野知弘氏】 ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。現在は、不動産のアドバイザリーのほか、講演活動なども積極的に展開。 【不動産投資家・李 天琦氏】 大学時代には深層強化学習を用いた自動運転シミュレーション研究に従事。’15年にGoogleにて招待講演を行うなど当該分野で高い評価を得る。卒業後はDeNAに入社、人工知能の開発などに従事し、その後、独立を果たす。 <取材・文/栗林篤 伊藤綾>
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