極右、白人至上主義者から人気ミュージシャンまで デマに覆わせてはならない米国議事堂襲撃犯たちの素顔

参加者はネオナチや極右活動家だらけ

 それだけに、連邦議会議事堂襲撃に関わった人物は特定され、法律に則っとって裁かれることが不可欠だ。現在、大手メディアや当局によって確認されている襲撃犯には、次のような人々がいる。  ジェイソン・タンカーズリー:ネオナチ団体、メリーランド・スキンヘッズの一員  マシュー・ハイムバック:白人至上主義団体のリーダー  ジェイク・アンジェリ:「シャーマン」の異名を持つQアノン信者の俳優  アシュリ・バビット:議事堂で射殺された元空軍兵士  リチャード・バーネット:ナンシー・ペロシ下院議長の執務室に侵入。銃規制反対派  ティム・ジオネット: 極右活動家、SNSタレント  ニック・オクス:極右活動家。プラウド・ボーイズ、ハワイ支部創設者  ジェニー・カッド:テキサス州の企業経営者  アーロン・モストフスキー:ニューヨーク州ブルックリンの判事の息子  デリック・エヴァンス:ウェストヴァージニア州下院議員  まさに「錚々たる顔ぶれ」だが、これらの人物はすでに訴追退職に追い込まれており、連邦議会議事堂襲撃という犯罪行為の代償は、支持者たちからの「イイね!」だけでは済まなさそうだ。

議事堂への行進には人気ミュージシャンの姿も

 今回の襲撃に加担したのは、Qアノンやネオナチ界隈での「著名人」だけではない。過去には来日公演も計画された人気メタルバンドのメンバーも、その姿が議事堂襲撃に向かう行進で目撃されている。(参照:LOUDERVULTURE)  「昨日(1月6日)、ワシントンDCの連邦議会議事堂に侵入した、怒りに満ちた暴徒のなかで、ICED EARTHのバンドリーダー、ジョン・シェイファーが撮影された。(中略)ICED EARTHのギタリストであり、メインソングライターが、退陣するトランプ大統領の支持者と撮影されるのは、ここ数か月で2回目だ。(中略)7月の『メタル・サックス』隔離ポッドキャストでは、シェイファーは新型コロナウイルスが『深刻なパンデミックというよりは人々への心理的な戦争キャンペーンである』と主張し、政府のパンデミックへの対応に関して『信じられないほどの不正があった』と述べた」  また、音楽メディアやファンから支持を集める、アリエル・ピンクジョン・マウスといったインディ・アーティストも議事堂襲撃の行進に参加したことが判明している。  「ピンクは長い間、物議を醸しているミソジニスト反同性愛トランプ擁護発言で知られています。集会の数日前、彼は 『トランプに投票しろ』とツイートしました。ツイッターユーザーが彼の参加に気づいたあと、彼は選挙がトランプ氏から『盗まれた』という誤った陰謀についてもツイートし、集会を昨年夏のブラック・ライブズ・マターの抗議活動と比較しようとしました。  一方、マウスは過去に彼の左翼的な政治観について語っており、『コップ・キラー』や 『ライツ・フォー・ゲイ』などの曲にそれが表れています。しかし、アダルト・スイム(大人向けの深夜放送局)の番組『ミリオンダラー・エクストリーム・プレゼンツ』に出演したことでも物議を醸しました。この番組は、制作者であるサム・ハイドのオルタナ右翼との関係を理由に中止されました」  数千人とも言われる参加者全員を特定することは難しいかもしれないが、捜査の手が届くことに期待したい。皮肉になるが、それこそがトランプ大統領のツイートした「法と秩序」が成就する瞬間だということだ。 <取材・文・訳/林 泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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