極右、白人至上主義者から人気ミュージシャンまで デマに覆わせてはならない米国議事堂襲撃犯たちの素顔
アメリカはもちろん、世界中を震撼させたトランプ支持者によるアメリカの連邦議会議事堂襲撃事件。ここ日本でも、一部の熱烈なトランプ支持者によって「アンティファによる成りすまし」「BLM運動のデモと同じ人物が参加している」といった極めて稚拙な陰謀論が沸き起こっているが、そのほとんどがすでにデマであると検証済みだ。
では、実際にトランプに煽動され、議事堂を襲撃したトランプ支持者たちは、いったいどのような人々なのか? 前代未聞の民主主義への攻撃を受けて、アメリカでは襲撃犯の特定が進んでいる。
たとえば、「ニューヨーク・タイムズ」は「キャピタル・ヒルの騒乱はソーシャル・メディアで計画されていた」との見出しで、議事堂襲撃が極右勢力、Qアノン信者、プラウド・ボーイズらによって計画的に行われたと報じた。(参照:The New York Times)
「GabやParlerなどの極右が利用するソーシャルメディアサイトでは、警察を避けるためにどの通りに行けばいいのか、ドアをこじ開けるのに役立つ道具を持っていけばいいのかなどの指示がコメントで交わされた。少なくとも十数人が、議事堂の構内に銃を持ち込むことについて投稿した。
議員たちに対する暴力と、連邦議会議事堂の建物を奪還するための親トランプ運動の呼びかけは、数か月間オンラインで渦巻いていた。Qアノンやプラウド・ボーイズといった少数派の運動を寵愛してきたトランプに先導され、これらの団体はソーシャル・メディアのネットワーク上で公然と組織されて、彼らの理念のために他者をリクルートしてきた」
このように、今回の事件は一般市民の鬱憤が噴出した結果でもなんでもなく、トランプ大統領の発言をキッカケに、極右や陰謀論者、ヘイト団体などが組織した計画的な犯行だったわけだ。
ご存知の方も多いだろうが、こうした状況を受け、FBIとDC警察は暴動の参加者に関する情報提供を広く呼びかけている。(参照:CNN)
これだけの情報が信頼に足るメディアや当局から発信されているにも関わらず、アメリカや日本のトランプ支持者たちの多くが、「反トランプ派の成りすまし説」を信じているのは驚くほかない。厄介なのは、そうしたネット上の妄言を促進するようなメディアもあることだ。
日本のトランプ信者がソースとして流布していた「ワシントン・タイムズ」(混同されがちだが、老舗メディアの「ワシントン・ポスト」とはまったく別物で、本サイトでも既報の通り、統一教会系のニュースサイトだ)も、そういったデマをバラ撒いたメディアのひとつ。
「XRVision社による顔認証ソフトでアンティファが紛れ込んでいたことが発覚!」と根拠のない煽り記事を発表したが、その後、事実誤認があったとして謝罪に追い込まれた。(参照:The Daily Beast)
XRVision社は『(ワシントン・)タイムズ』の記事は完全にでっち上げだと述べている。XRVision社の弁護士が発表した声明によると、XRVision社の顔認識ソフトウェアは、実際は2人のネオナチとQアノン支持者を特定したという。
『2名の人物(ジェイソン・タンカーズリーとマシュー・ハイムバック)を、メリーランド・スキンヘッズと国家社会主義運動に所属していると結論づけました』と声明は述べている。『この2つはネオナチ組織として知られており、アンティファではありません。3番目に確認された人物(ジェイク・アンジェリ)は、Qアノンの宣伝をしていたことがある俳優です。繰り返しになりますが、彼もアンティファに所属しているとは確認されませんでした』
トランプ信者のソースとなっているメディアがデマであることを認め、謝罪し、記事で取り上げられた顔認証ソフトの運営会社が「アンティファではなくネオナチ」と発表したにも関わらず、デマが収まる気配はない。
これは連邦議事堂襲撃に限った話ではないが、厳しく精査されたファクトよりも、デマのほうが広がる範囲も速度も速く、かつ謝罪や訂正はそれほど話題にならないというのはとても危険だ。もはや世界中で当たり前となっているが、「(デマを)言ったもん勝ち」の状態には、何としても歯止めをかけなければならない。
極右勢力・陰謀論者による計画的な襲撃
デマ拡散をあと押しするネットメディア
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