1月7日の総理記者会見を見て抱いた「2つの違和感」と「ある疑念」

筆者が抱いた2つの違和感

 まず、第一の違和感として、司会者が対象(内閣記者会、内閣記者会以外、外国プレス)を細かく指定した上で指名していることが挙げられる。冒頭の幹事社2名を除く9名の指名において、実に5回(5人目、6人目、8〜10人目)も対象を宣言した上で指名している。  第二の違和感として、司会が対象を「内閣記者会以外の方」と宣言した後に指名された全2名(8人目ドワンゴ 七尾記者、10人目ラジオ日本 伊藤記者)は、まるで政府の都合を代弁するかのような質問をしていること。通常であれば政権との関係性が薄い内閣記者会以外の記者の方が厳しい質問をしやすいと思われるが、全く逆の結果になっている。

まるで政府広報のような質問内容

 この2名の記者がどのような質問をしていたのか、全文を文字起こしして紹介する。 <8人目 ドワンゴ七尾記者> 司会(山田真貴子 内閣広報官):それでは、内閣記者会以外の方のご質問も頂きたいと思います。では、ドワンゴ 七尾さん。 ドワンゴ 七尾記者:ドワンゴの七尾です。連日お疲れ様です。あの、第1波の時なんですけど、あの、西浦教授を始めとするですね、尾身先生、脇田先生の専門家会議によるシミュレーション、接触8割減という具体的な数値目標を立て、これ奇跡的だと思うんですが、かなり実現できたと思います。それ以降、今日まで東京都などのですね、自治体発表による日々の感染者数以外ですね、大きく伝われているものはございません。あの、国民が納得し、取り組むことのできる一体感、これ大事だと尾身先生もおっしゃいましたけども、今回ではですね、かつてのような人流データ、あるいは企業等のテレワーク実施率、えー、脇田先生のところで進められているゲノム分析など、こうした接触機会を減らすことに繋がる様々なデータ。そして、国民が一体感を持って目指すことのできる科学的な数値目標をアドバイザリーボードや分科会を始めとする、これまでの国内の科学的知見をですね、総動員して、今後政府のもとで掲げる必要性についてお考えをお聞きします。 <10人目 ラジオ日本伊藤記者> 司会(山田真貴子 内閣広報官):それでは、えーと、そうですね、内閣記者会以外の質問を頂きます。じゃ、ラジオ日本、伊藤さん。 ラジオ日本 伊藤記者:ラジオ日本の伊藤です。よろしくお願いします。今回の緊急事態発出と憲法について、総理のお考えをお尋ねしたいと思います。えー、やはり公共の福祉と私権の制限の2つのテーマがあるんですけども、これについて、あの、やはり憲法と関連してですね、何か総理がこう政治家として、ここ、まあ、官房長官・総理として2回の緊急事態を体験されるわけですけども、何かこの憲法の壁のようなものを感じることがありますかどうか。ちょっとお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。  質問内容の文字起こしは以上である。  まず、ドワンゴ七尾記者は「連日お疲れ様です」「第1波の時、専門家会議が接触8割減という具体的な数値目標を立て、奇跡的だと思うんですが、かなり実現できた」などと菅総理や尾身会長を持ち上げた後、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の方針をまるで広報するかのような質問をしている。  ラジオ日本 伊藤記者に至っては、緊急事態宣言と憲法改正を関連付けて、政府が望んでいる憲法改正の必要性を訴えるかのような質問をしている。  2名の記者の具体的な質問内容を確認した上で、先ほど紹介した2つの違和感(指名前に司会が対象を細かく指定し過ぎていること、内閣記者会以外として指名された2名が政府の都合を代弁するような質問をしていること)について、改めて考えてみたい。
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拭えない「ある疑念」
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