「地元・小田原の間伐材で楽器を作ろう」。コロナ禍の中で、音楽と森がつながる

地元の間伐材を使ってDIYで楽器を作る

 依然として増え続ける、新型コロナウイルスの感染者数。1回目の緊急事態宣言が全国に拡大された2020年4月16日(576人)をはるかに超える新規感染者が連日確認され、各地で医療崩壊が起きている。一向に先が見えない中、私たちはどのようにして日々を生き抜いていけばよいのだろうか。
大村楽器店では、マスク不足の際には不要なマスクを回収し、必要としている施設へ寄付を行った

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 神奈川県小田原市に本社を置く、大村楽器という楽器店・音楽教室がある。1931(昭和6)年に小田原市でレコード店として創業、1948(昭和23)年には株式会社大村楽器店を設立。以降、音楽教室も開設し、現在は小田原を本拠地としたヤマハの特約店として音楽専門品の販売や音楽教室を運営している。  その大村楽器のSNSに「小田原の間伐材を使ったカホンDIYキットを限定発売受付中」という投稿があった。地元の間伐材を使って、DIYで楽器を作るとはどういうことだろうか。なぜ楽器店が間伐材と結びついたのだろうか。  ちなみにカホンという楽器は、一見椅子のようにも見える四角い箱型で、後方側面に丸穴があいていて、中に設置された複数のワイヤーが板面を叩くことで振動し、さまざまな音色がする打楽器である。構造としてはかなりシンプルで、その板面に小田原の間伐材を使用しているという。

カホンのイベントが終了すると聞き、「自分がやります!」

小田原生まれ小田原育ちの福田さん。「小田原の人は地元を離れない人が多いんです」と語る

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 その経緯を大村楽器の福田勇人マネージャーにお伺いした。 ――小田原の間伐材を使ってカホンをDIYで作るという企画は、どのような経緯でスタートしたのでしょうか。 福田:大村楽器でDIYキットの販売を始めたのは2020年10月からです。2015年の国連サミットで持続可能な開発目標(SDGs)が掲げられ、森や自然が豊かなここ小田原市でも「間伐材を用いて楽器を作ろう」という動きが5年前からありました。  市民会館でカホンを作るイベントが行われたり、地元小学校でもカホンプレーヤーをお招きして特別授業が行われたりしていました。イベントに参加しつつ地元に貢献できる良い企画だと感じて、大村楽器にイベントのチラシを置くようになりました。  実際に、音楽教室の生徒がイベントに参加していました。ところが企画終了の話が出てしまい、「それであれば自分がやります!」と1年前に手を挙げたのです。同じ小田原にある竹広林業も賛同して、キットの作成を担ってくださるようになりました。
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コロナ禍の中でDIYが流行、音楽の需要も増える!
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