直接給付を執拗に避ける政府に、飲食店やホテル業界から怒りの声<スペイン>

12月のマドリード

12月のマドリード
( blissblue_11 / Shutterstock.com)

直接給付の支援をしないスペイン政府に不満爆発

 新型コロナ感染と外国からの観光客訪問の激減で多大の損害を被っている飲食店やホテル業界などを対象にした支援金を社会労働党とポデーモスの連立政府は2か月以上も前から打ち出すことを約束していた。遂にそれが12月22日の閣僚会議で決まった。しかし、それは関係業界の期待を完全に裏切る何ものでもなかった。  当初期待されていた80億ユーロ(960億円)の支援金はその半額の42億円ユーロ(5040億円)ということに留まった。(参照:「El Confidencial」)  しかも、EU加盟国のドイツ、フランス、オランダ、イタリアなどは、損害を受けている関係事業者に直接給付しているのに対し、スペインのそれは納税の延長、開発金融公庫などへの融資枠を広げる、店舗の家賃を半額に減額するといった「間接的」なもの。42億ユーロに相当する支援とはいえ、このような意味の薄い支援を前に関係業者の間では「肺炎の患者にアスピリンを投与して治療しようとしているものだ」として失望感をあらわににしている。

観光立国で飲食店やホテルを見放すということ

 その上、政府が支援金を具体化させるのに、なんと2か月も要した。しかも支援金の直接給付ではなく間接支援という手段を政府が選んだのも、要するに、政府に資金がないからである。仮にスペインがEUの加盟国でなかった場合は完全にデフォルトに陥っていたはずだ。  例えば、ドイツはこの業界の店の閉店を指令した段階で損害を受けている関係業者に直接付与する資金として100億ユーロ(1兆2000億円)を用意した。フランスは60億ユーロ(7200億円)、イタリア55億ユーロ(6600億円)、オランダ150億ユーロ(1兆8000億円)といった具合だ。他のEU加盟国の間で用意した資金を含めておよそ400億ユーロ(4兆8000億円)がEU加盟国の間で用意されたことになる。どれも損害を受けた飲食店やホテルなどに直接支援金を提供するものである。(参照:「OK Diario」)  スペインの飲食店並びにホテル業界がGDPに占める割合は6.2%、その雇用者はおよそ170万人と推定されている。期待されていた支援金は損害を受けている関係業者に直接資金を付与するのではないということもあって、およそ33%の営業店が廃業を余儀なくさせられるようになると懸念されている。
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十分な補償もせずに根拠なき楽観視の政府
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