そうはいっても
自分のモチベーションファクターに関係のないアクションを実施しなくてはならない場面もある。そこで第2のステップは、こうした
アクションに必要なモチベーションファクターと、
自分のモチベーションファクターの両方に関係した要素を盛り込んで、
プロセスを設定することだ。
たとえば、他者協調のアクションを目標達成の人が実施する場合、他のメンバーとミーティングを持ち合同で取り組む点を明確にする(
他者協調)プロセスと、その後、個別に目標達成の進捗状況をトラッキングしていく(
目標達成)プロセスの両方を盛り込むということだ。
私はこれを、「
アクションと自分のモチベーションファクターをブリッジする」と呼んでいる。そうすることで、アクションに必要なモチベーションファクターも自分のそれも満たされ、実現度が高まりやすくなる。
それでも実現度が高まらない場合は、
ほかの人にアクションを依頼するとよい。これが第3のステップだ。
ほかの人に依頼することなどできないと思うかもしれないが、実は
相手のモチベーションファクターに関連したアクションは、その相手に依頼しやすいことがわかっている。誰しも自分のモチベーションファクターを刺激するアクションには取り組みやすいものだ。
自分の嫌なアクションをほかの人に依頼するから、たらい回しになってしまう。相手が好む、すなわち
相手のモチベーションファクターに合致したアクションをその相手に実施してもらえばよい。逆に、自分のモチベーションファクターに合致したアクションは、自分で引き取ればよい。
ほかの人に依頼すると言っても、一定の人にアクションが偏って、その人に負担をかけないかと思う人もいるだろう。
モチベーションファクターは統計的には6つに分散しているので、ある程度大きなチームで、その人のモチベーションファクターごとに依頼することができれば、
タスクはほぼ均等に割り振られることになる。今年こそ、新年の抱負を実現するために試してみていただきたい。
質問:ほかの人に仕事を依頼したらその人にしわ寄せがいくだけではないか
「ほかのメンバーや部下に依頼できることは依頼する」「上司に依頼できることは依頼する」といっても、
ほかの人もみな忙しいので、おいそれと依頼することなどできません。
仮に依頼できたとして、自分はそれで業務量が軽くなるからよいかもしれませんが、ほかの人にしわ寄せがいくだけで、チームとしては問題解決になっていないのではないでしょうか?
回答:相互にモチベーションファクターに合致した仕事をし合う
ある人がほかの人に一方的に仕事を依頼するというのではなく、
ほかの人のモチベーションファクターにより合致した仕事を依頼する、
ほかの人からも自分のモチベーションファクターに合った仕事の依頼を受けるということを相互に行っていくと、
チーム全体としてパフォーマンスが上がることになります。
そのためにも、
相手のモチベーションファクターを見極めて、それに合った仕事をお互いが担っていくということが重要なのです。
業務のスケジューリングのスキルに限らず、ビジネススキルを実際に発揮していくためには、組織やチームのなかで自分だけがスキルを高めている状態よりも、
ほかのメンバーも同様にスキルを向上させていることが望ましいのです。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第222回】
<取材・文/山口博>