2021年は「説明責任」を果たさぬ政治家や大企業を看過するな

菅義偉首相と菅原一秀前経産相(筆者撮影)

菅義偉首相と菅原一秀前経産相(筆者撮影)

 筆者の2020年の執筆活動を振り返ると、新型コロナウイルスに関連した取材が多かったことは当然ながら、共通するキーワードとして「説明責任」という言葉が思い浮かぶ。  すかいらーく系列レストランにおける謎の除菌ミスト噴霧問題、数多の疑惑追及から逃げ回る菅原一秀前経済産業大臣を追った一連の記事によって、説明責任を果たそうとしない大手外食企業や政治家の姿を浮き彫りにしてきた一年だった。

すかいらーく空間除菌問題

 新型コロナウイルス禍により、混乱を極めたのが消毒液等の空間噴霧だ。筆者が6月にすかいらーく系レストランにおいて遭遇した謎の除菌液の空間噴霧。そこから追及を開始した所謂「すかいらーく謎霧問題」では、全国の店舗に設置された超音波加湿器から噴霧されていた除菌液の成分を突き止め、除菌液製造会社や科学者への取材からその有効性と安全性を検証、各運営会社の説明の食い違いやすかいらーくホールディングスのちぐはぐな対応などから食の安全を預かる大手外食チェーンとしての姿勢を問うた。  当初の報道後、すかいらーく各レストランは超音波加湿器を撤去。しかし、11月から「空間除菌中」などのラベルを剥がして除菌液ミスト噴霧を再開した。再噴霧に際しては従業員への口止め疑惑も浮上し、一部店舗では「ただの水です」と虚偽の説明が行われていたことを掴んだ。  国内外の機関が有効性と安全性に懸念を示す除菌液の空間噴霧を現在も続けるすかいらーくグループ。何のために、そして誰のために行うミスト噴霧なのか、「すかいらーく謎霧問題」は「すかいらーく謎対応問題」と化し、企業倫理が問われる事態となった。
空間除菌中と言うシールを剥がして使うすかいらーく系レストラン

「空間除菌中」のラベルシールを剥がし利用客に説明なく除菌ミスト噴霧を続けるすかいらーく系レストラン(筆者撮影)

〈参照:HBOL|すかいらーく系レストランでミスト噴霧される謎の除菌液は大丈夫なのか? その正体を追ってみた〉 〈参照:HBOL|すかいらーく系レストランでミスト噴霧される謎の除菌液。運営会社によって主張が食い違う「成分」〉 〈参照:HBOL|すかいらーくグループ、系列レストランでの「除菌ミスト噴霧」を再開。一部店舗では「水です」と客へ説明

前国務大臣への直当て取材

 そして政治家の疑惑追及では菅原一秀前経産相への直当て取材により、この代議士の本性を炙り出した。  週刊文春の香典秘書スクープ報道による公選法違反疑惑によって2019年10月に経産大臣を辞任後、雲隠れを続けていた菅原議員。年明けに活動を再開するのではと見た筆者は20年1月、ジャーナリストの藤倉善郎氏とともに前経産相の選挙区内での動きを追った。  しかし、昨年初頭の主要駅や練馬区の賀詞交歓会には秘書のみが現れ代議士の姿はなかった。その後、菅原は国会会期直前の1月中旬と検察が不可解な起訴猶予処分とした6月下旬にそれぞれ衆議院自民党控室と党本部で記者会見を行ったが、疑惑への説明を果たしたとは言えないものだった。  安倍晋三の首相辞任表明により菅義偉官房長官が自民党総裁・内閣総理大臣となることが確実視されていた9月初旬、菅原は選挙区内で駅頭活動を再開した。菅のチラシを配布し、近しい関係をアピールするなど菅人気に便乗する形で有権者の前に姿を現したのだ。   日々、駅頭場所を筆者に知られまいと工作を続ける代議士を捉え、直撃取材を行ったのは9月中旬。疑惑を追及する筆者に対し「あなたのは取材ではなく嫌がらせ、脅迫ですよ」と抗弁する前経産相を捉えたスクープ画像は、この代議士の真の姿を伝えるのに余りあるものだった。  東京高検の黒川弘務元検事長による「賭けマージャン問題」で、賭博容疑の刑事告発に対し不起訴(起訴猶予)とした東京地検の処分に対し、12月24日、検察審査会が「起訴相当」と議決、東京地検が再捜査を行うとのニュースが飛び込んできた。  同じく、不可解な起訴猶予処分となった菅原の刑事告発(公選法違反)も検察審査会案件となっている。2021年には同様の判断を検察審査会が菅原に下すことを期待したい。 〈参照:HBOL|公選法違反常態化の菅原一秀を東京地検が不起訴処分、起訴猶予は妥当ではない〉 〈参照:HBOL|菅氏の人気に便乗、1年ぶりに有権者の前に姿を見せアピールに勤しむ菅原一秀前経産相〉 〈参照:HBOL|菅原一秀衆院議員、駅頭演説への直撃取材に、説明責任果たさず「脅迫」「嫌がらせ」と逆ギレ〉 〈参照:HBOL|疑惑直撃に取材者の個人情報を連呼した菅原一秀前経産相。“探偵”使用疑惑も
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菅政権が「起死回生」を狙うルートとは?
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