12月24日、「桜を見る会」の前夜祭の費用補填問題で、安倍前首相が自民党の記者クラブである平河クラブの記者を相手に国会内において会見を開いた。全ての責任を秘書に負わせ、安倍自身は「私が知らない中で行われていたこととはいえ道義的責任を痛感している」と“反省”してみせた。
2020年を締めくくる年末最後に「説明責任」を果たすフリをしたのが安倍前首相だったことは、つくづく2020年を象徴している出来事だった。
新型コロナウイルスの感染拡大により、見えづらくなったのが自民党政権と統一教会(天の父母様聖会世界平和統一家庭連合)の関係だ。
2019年までは多くの恥ずべき政治家が教団の集会やイベント等に参加し、その関係が可視化されてきた。しかし、コロナ禍に見舞われた20年は、2月のワールドサミット以降、教団の大規模集会イベントは全てオンラインで行われており、これまで日本の現役政治家の直接参加は確認できていない。集会自体がオンラインで行われるようになったことで、その関係性が見えづらくなっているのだ。
だからと言って、その関係が途絶えたわけではない。第2次安倍政権時代に強固な結びつきを構築した首相官邸と教団の緊密な間柄は、菅政権でも継続・発展していくと見ている。当初の高支持率がコロナ対応の不手際により急落、支持率低下に歯止めが掛からず迷走を続ける菅義偉総理大臣にとって、支持率回復への起死回生の切り札となるのは
北朝鮮による日本人拉致問題の進展だ。そこに
北朝鮮との太いパイプを持つ韓鶴子総裁率いる統一教会が首を突っ込んでくる可能性がある。
もともと菅は官房長官時代からと統一教会は結びつきが強い。13年参院選では安倍首相の肝いり候補だった北村経夫を選挙期間中に統一教会地区教会へ極秘派遣、16年には教団のアメリカのVIPたちを首相官邸に招いている。子飼いの菅原一秀や山本朋広前防衛副大臣を教団関連イベントに“派遣”したのも菅の手配と見られている。
教団は20年に全世界規模で組織の再編成を行い、日本の教団組織も会長を含め体制が変わった。そんな中で教団と自民党菅政権が今年10月までに行われる衆院選において、どのような策動を巡らせるのかにも注目したい。
〈参照:
HBOL|統一教会大規模イベントへトランプ・金正恩・文在寅が祝賀メッセージ。韓鶴子訪朝団に日本の元首相と安倍側近が参加の噂も!?〉
〈参照:
HBOL|自民党総裁選3候補、統一教会との”協助”関係でも菅官房長官が独走〉
〈参照:
HBOL|統一教会が組織再編、全摂理機関と共に新包括組織『天の父母様聖会』の傘下に。政治家対策に影響も〉
〈参照:
HBOL連載記事|政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係〉
(文中敬称略)
<取材・文/鈴木エイト(ジャーナリスト)>