コロナ禍の中の物流を支えたトラック業界の2020年。激変した生活で増した運送業の負担と不安

第7位 荷量の激減・激増  テレビ報道の影響で、トラックドライバーは今年、総じて多忙を極めていると思われがちだが、BtoB輸送は荷量が激減。主に日給月給制で働くトラックドライバーは、仕事がなく走れない日が続けば、ダイレクトに給料に響く。実際、  「歩合制ゆえ給料に影響アリ」  「元々売上連動制の給料なので変動はあるが、この約5年間で最低額に近い数字が続いたように思う。あまりに売上が少なすぎたとのことで、会社から全員に特別給付金が出た」  との声が多く聞かれた。一方、BtoC輸送においては既述通り荷量が激増し、郵便局の配達員、ECサイト系列のドライバー、各宅配企業の配達員は皆「非常に忙しかった」、「この記事が出ているころもまだまだ忙しいだろう」と口をそろえた。 第6位 コロナ禍のマスク着用義務がドライバーには大きな負担に  今年はコロナに加え、「史上最暑の夏」だったのを覚えているだろうか。“マスク警察”による監視が強まる中、手作業で何百もの荷物を積み降ろしするトラックドライバーには、この口元の1枚が非常にクセモノだった。  「多くの荷主は『作業中は外していい』と言ってくれたが、一部では『構内着用ルール』によって作業中もマスクを装着させられた。汗でびちょびちょになって息ができなくなった」  「コロナで1週間後死ぬ前に、今日熱中症で死にます」  来年の夏、機会があれば是非マスクをしたまま30kgの米袋を800個積み降ろししてみるといい。彼らの気持ちがよく分かる。

感謝する人もいれば、差別する人もいた……

第5位 「除菌スプレーを吹きかけられた」 コロナ禍におけるドライバーへの偏見と差別  コロナによるトラックドライバーへの激励があった一方、反対に、日本全国を走り回る彼らには、「ウイルスをまき散らす」という勝手なイメージから、差別や偏見も横行した。  「除菌スプレーを吹きかけられた」  「親が長距離トラックドライバーだからと入学式の参加を断られた」  といったケースが各地から報告された。  筆者の元にも、「自分が感染拡大地域を出入りするトラックドライバーだからという理由だけで、妻が出社禁止になった」という相談があったが、トラックドライバーはほとんど全ての時間を単独で行動しているため、感染リスクは非常に低い。 第4位 高速道路120km化  昨今進む「高速道路の時速120km化」だが、大型車は80kmに据え置かれている。つまり、単純に計算しても、そこには40kmの速度差が発生するのだ。  時速120km化が報じられると必ず「トラックは最左車線だけ走っていればいい」という一般ドライバーからの意見が増えるのだが、もしトラックが最左車線だけを走れば、日本の物流は崩壊し、そして出口に向かおうとする乗用車との衝突事故が激増する。  現状「死亡事故がゼロ」であったとしても、その背景には、危険を回避した多くの事例が数え切れぬ程あるはず。一般車の制限速度を上げるならば、トラックの制限速度も引き上げなければ、速度差による危険やあおり運転のリスクも上がるというのが、現場トラックドライバーの声だ。
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2020年、運送業界の話題トップ3はこれだ!
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