■第2位 コロナ禍による旧規則機の設置期限延長
政府のカジノ政策に関連するギャンブル等依存症対策によって、パチンコ機、パチスロ機の射幸性(≒ギャンブル性)は大きく抑制された。この規則が施行される前の遊技機を旧規則機、施工後の遊技機を新規則機と呼ぶのだが、比較的射幸性の高い旧規則機は本来、最長3年間の期限をもって市場からすべて撤去されることが決まっていた。
しかしコロナの影響を受け、海外からの遊技機製造部品の輸入が難しくなったこと、多台数の遊技機の入替による三密の回避等を理由に、旧規則機の撤去期限を定めた国家公安員会規則が改正され、1年間延長された。
コロナにより客数が激減し、売上も大きくダウンしたパチンコ店にとっては収益の柱となっていた旧規則機の設置期限の延長は朗報であったが、一方で「高射幸性遊技機」に区分され業界が自主規制で撤去を促進していた一部遊技機の撤去問題を巡り、パチンコ業界内では撤去するしないの悶着が起こってもいる。
この問題の詳細については「
ついに始まった人気パチスロ「神々の凱旋」撤去。ファン、店舗、業界全体の交錯する想い」の一読を。
■第1位 コロナ禍に揺れたパチンコ業界
2020年のパチンコ業界にとってコロナ禍は、多くの教訓と遺恨を作った。
政府が緊急事態宣言を発令した4月、都道府県知事の要請により協力休業を余儀なくされたパチンコ店であったが、全国の98%以上が休業に応じたにも関わらず、一部のパチンコ店が営業を継続したことにより、日本中のメディアがパチンコバッシングに明け暮れた。
緊急時においては不要不急である娯楽産業ではあるが、さもウイルスを巻き散らす悪しき巣窟のような報道は、社会全体が未曾有のウイルスを前に一種のパニック状態であったとしても、今後二度とあってはならないことのように思う。
一方、あれだけのバッシングを受けたからこそ、パチンコ業界全体のコロナ対策はかなり徹底されており、いまだクラスターを発生させていないということは特筆すべき点であろう。
2020年の1年間は、パチンコ業界にとって苦しい1年間であったろう。コロナによる負の影響を抱えたのはパチンコ業界に限ったものではないが、不要不急の娯楽産業であるからこその辛さと、不要不急の娯楽だからこそ人々の生活に潤いをもたらすという価値を感じ見出した1年であったと言えるのかも知れない。
<文/安達夕>