コロナ禍での葬儀。葬儀社・僧侶たちの知られざる苦労とは?

お坊さんはマスクで読経に苦労

 葬式で変化があれば、もちろんお坊さんにもその影響が及びます。目黒区にあるお寺の副住職を勤める古田さん(仮名/男性40代)にお話を伺いました。まずお寺でも普段は、手洗いや換気や人数の削減など、一般的な対策はもちろんしているそう。  お坊さんといえばお経ですが、声を出すために飛沫が広がる原因になりそうですが、古田副住職は「マスクをつけたまま読経しています」と話します。その苦労については次のように語ってくれました。「東京の通夜葬儀での読経は、おおよそ40分程度ではあるんですが、個人的には大変です。読経している最中の、予期せぬタイミングでマスクが口に張り付いて、一瞬呼吸ができなくなることがよくあるんですよ」と副住職。

「高齢者をお迎えするので心理的な負担が大きい」

 前述の、葬儀社に対するようなトラブルやクレームはあるのか伺うと「特にはありませんよ。『こういったご時世だから仕方ないですよね』という声がほとんどです」との返答で、クレームの多くはお寺ではなく葬儀社に向けられているようです。お寺は普段から檀家としての交流があるため、理解をしてもらいやすいということが、背景にあるのかもしれません。  さらに古田副住職のお寺では「檀信徒さんに不定期でお送りしているお葉書で、何か迷うことがあったら、いつでも相談してくださいと伝えているので、相談に応じて柔軟に対応ができているんだと思います」とも。やはり、普段からのコミュニケーションの積み重ねが、トラブル回避には重要のようです。  それでも、心配事は絶えないとのこと。「お寺は、高齢者や基礎疾患をお持ちの、いわゆるハイリスクな方をお迎えすることが多いので、その点、心理的な負担は大きいですね」と、副住職。  何事にも代えがたい別れのひとときである葬儀。ここに制限がかかってしまうことは、多くの人の悲しみが癒されない結果になってしまいます。そうした面からも、一刻も早いコロナの収束を願わずにはいられません。 <取材・文/Mr.tsubaking>
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