コロナ禍での葬儀。葬儀社・僧侶たちの知られざる苦労とは?

読経

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 新型コロナウイルスの感染拡大は、生活の様々な場面に大きな影響を与えています。それは、冠婚葬祭の場も例外ではありません。今回は、通夜や葬儀にコロナがどんな影響を与えているのか、現場の声を取材しました。

コロナによる葬儀の変化

 日本で、新型コロナウイルスの感染拡大が始まってからおよそ10ヶ月。普段の生活をwithコロナで過ごすことには多くの人が慣れてきました。しかし、非日常とも言える弔事の現場ではどんな対策がなされているのか、都内の葬儀社に勤務する石坂さん(仮名/女性30代)は次のように話します。「基本的には、一般に行われているものと同じですね。マスクの着用、アルコール消毒液の設置、手に触れる場所の消毒、式場のイスの間隔をあける、換気といったところです」。  そうした中で、大きく変わった部分としては、葬儀の前後に密となりやすい場面だそうで「式の前までに霊安室でご遺体に対面できるのも5名以下にさせていただいています。それから、出棺時の霊柩車への同乗は、運転手との距離が近いためにご遠慮いただくようにお願いしていますね」と石坂さん。  また、葬儀内容の注文にも変化があったようで「通夜や葬儀を行わず、ご逝去された場所から直接火葬場へお送りする『直葬』を選択する方が増えました」とも話してくれました。

コロナ禍での葬儀社の苦労は?

 あまり多くはありませんが、どうしても会葬者が100人を超えるような葬儀もあったそうです。そうした大規模な葬儀では「式の間はもちろんですが、式の前や後でも会葬された方が密にならないように散会させるよう誘導するのが大変でした」と石坂さんはいいます。  また、遺族や会葬者にとって、葬儀は故人との貴重な最後の時間なので、これまでも心配りをもっとも重要視してきたという石坂さん。「葬儀の場は、ご遺族や会葬の方にとってただでさえセンシティブですが、そこにコロナでのセンシティブさが加わるので、今まで以上の心遣いが求められています」(同氏)と、苦労を語ってくれました。  さらに、対策について遺族に説明しても、それを参列者全員に理解してもらうのには、苦労したそう。「式の打ち合わせをするのは、ご遺族だけなんですが、式にはご親戚や友人知人の方もいらっしゃるので、その方々にもコロナ禍での葬儀方針をご理解ご納得していただけるように対応するのには、とても気を使います」。  方針の説明は、ごくわずかな遺族にしかできないため、実際に葬儀の日には、それ以外の人に理解してもらえず、トラブルが起きてしまうこともあるのです。「火葬場に10名までしか立ち合えない時期があったんですが、実際立ち会いたい親族が20名になってしまったことがあります。打ち合わせ時に説明はしていたんですが。遺族側にしたら『最後なのに!』となってしまって。お気持ちもわかりますので、大変心苦しかったですね」(同氏)。  石坂さんは最後に「ご遺族のお気持ちとルールをすり合わせるのも、私たちの仕事です」と、プロらしい言葉をくれました。
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お坊さんはマスクで読経に苦労
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