在外邦人、異国でのコロナ感染。「小さい子どもがいる家庭は特に大変」
日本でも、連日各地で感染者数が増加し続けている新型コロナウイルス。欧州では秋の訪れとともに感染が拡大し、各国で厳しいロックダウンが敷かれている。
異国の地でコロナショックに見舞われ、自身も感染してしまう……。そんな悪夢のようなシナリオは世界各地で現実となっている。数年前から東欧・ポーランドで暮らし、国際結婚を経て日系企業で勤めているMさん(31歳・男性)もその一人だ。辛いコロナの症状や自主隔離中の生活、検査までの流れなどを証言してもらった。
「時系列で説明すると、数週間前の日曜日の夜ぐらいから風邪っぽい症状が出始めたんです。翌日、月曜日の朝に検温したところ、37度ぐらいの熱がありました。勤めている会社では、毎日出社するときに入口で検温をしているので、その日は休むことにしました。初日はスゴく体が怠くて、熱も最高38.6度まで上がりました」
コロナが猛威を振るっている時期だけに、真っ先に感じたのは自分が感染してしまったかもしれないという不安だ。しかし、それを確かめるだけでも、いくつか障害があった。
「ここポーランドでは国民皆保険があって、自分のかかりつけの医者を登録する仕組みになっています。まずは電話で予約をしなければいけないのですが、その日は予約がいっぱいで診察してもらうことはできませんでした。コロナの検査を頼むにも、登録している医者の指示書がないと受けてもらえないんです。自腹で保険適用外の病院に電話をして解熱剤をもらったのですが、検査は登録している医者からの指示書がないと行えないので、月曜日は無駄足に終わってしまいました」
その時点では味覚や嗅覚なども働いていたが、「ただの風邪」のような症状では検査を受けられないかもしれない……。Mさんは妻と2人の子どもたちと暮らしているため、一刻も早く検査を行いたかったそうだが、登録をしているかかりつけの医者に診察してもらったのは、症状が出始めてから3日目の火曜日だった。
「そこで、ようやく検査を行うための番号が記載された指示書をもらい、ドライブスルーのような形の検査を受けに行くことができました」
向かったのは、スポーツアリーナの駐車場に設置された検査場。指示書を集計するテントと、医師が待機するプレハブがあり、Mさんは車に乗ったまま検査を行った。
「まずはテントのほうから、ネックウォーマーを口に巻いた軍人が指示書の番号や個人情報などを確認しに来ました。思っていたよりも軽装で少し拍子抜けしましたね。その後、プレハブのほうから、こちらは全身防護服でフル装備の女性が検査キットを持ってやってきました。ご存知の方も多いと思いますが、検査の内容は鼻に綿棒を入れるもので、インフルエンザの検査に似ていました」
こうしてようやく検査を済ませたわけだが、ここからの手順はスムーズだったという。銀行のオンライン決済などに使用しているログイン情報を用いて、医療ページにアクセスすることができるため、検査結果は随時ネット上で確認できたのだとか。
「48時間以内に結果が出るとのことでしたが、翌日水曜日には早くも陽性だと医療用ページで通告されました。周りにも感染者が多く出ていたので、それほどショックはありませんでしたが、これから自主隔離に入るのかと思うと、やはり辛かったですね」
いっぽう、残りの家族は妻も子どもたちも無症状。しかし、それでは検査を受けることすらできないので、「風邪のような症状が出ている」とかかりつけの医者に連絡し、なんとかテストを行うことに。結果は陰性だったが、皮肉にも自主隔離の期間は陰性のほうが長かったという。
「陽性だった場合は10日間なのですが、陰性の場合でも濃厚接触者は遅れて症状が出る場合があるので、さらにもう一週間自主隔離しなければいけないんです。陽性判定が出て、すぐにかかりつけの医者と保健局から連絡がきて、同居している家族の個人情報や、症状が出てから誰と会ったかといった追跡調査が行われました」
こうしてMさん一家は自主隔離の生活を始めることとなった。
国際結婚でポーランド在住の邦人、コロナ感染
検査結果もスムーズにオンラインで確認できる
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