緊急集会には80人強の住民が集まった
11月21日18時。
東京都武蔵野市に80人強の住民が集まり、「
外環道・陥没事故緊急報告集会」を開催した。
全国的なニュースとなった東京都調布市東つつじが丘2丁目の住宅街での道路陥没事故は、住民に「
やっぱり起こったじゃないか」と言わしめる事故だった。そして、その後の状況と今後の方策を共有するために、住民が主体となって集会が開催されたのだ。
10月18日に地面が陥没。長さ5m、幅3m、深さ5mの穴が開き、11月3日には陥没現場からわずか十数m離れた地中に長さ30mの空洞が発見された。いずれも、その直下の地下47mで高速道路「東京外かく環状道路」(外環)を建設するための掘削が行われていた。
シールドマシン。直径16mの掘削機の前では人が小さく見える(東京都のウェブサイトより)
住民が問題視するのは、陥没現場の地下47mで直径16mの巨大掘削機、シールドマシンが土を取っていたのは約1か月も前の9月14日であったことだ。事業者であるNEXCO東日本はいまだに「工事と陥没との因果関係」を認めない。
国交省、NEXCO中日本、NEXCO東日本の3事業者が設置した調査機関「有識者委員会」の小泉淳委員長は
「因果関係がないとまでは言い切れない」と発言している。可能性の一つとして、シールドマシンが土を取り込み過ぎたことで空洞がつくられ、その周辺が時間の経過とともに緩み陥没したかもしれないのだという。
つまり、すでに掘削済みの地域でも
「いつかは崩れるのではないのか」と住民の多くが不安を覚えている。
市民団体「市民による外環問題連絡会・三鷹」が作成した外環のルート図。予想される被害も記載されている
有識者委員会は、陥没事故翌日の19日と23日に記者ブリーフィングを開催。筆者はそこでいくつかの質問をしたが、その回答に「これでは住民の不安は消えない」と思った。以下、そのやりとりを紹介する。
――陥没事故を受けてシールドマシンは止まっている。再稼働するときは、住民説明会を開催して住民合意を得ることを条件にするのか?
「説明会は行います。丁寧に説明します」
――住民合意は得ないのか?
「はい、丁寧に説明します」
――住民合意を得るかどうかを尋ねています。
「丁寧に説明します」
――今回の陥没事故で不動産価値は下落する。その損失の補償を求められたら対応するのか?
「仮定の質問には答えられません」
――説明会はやるとのことだが、その逆に住民有志がNEXCOの事務所を訪ねて説明を求めることには対処するのか?
「そのときの状況に応じて判断する」
住民の心配に、真摯に向き合っているとは思えない回答だった。
他の記者たちも「8月から周辺住民は振動や外壁のひび割れなどの被害を訴えてきた。陥没の予兆とは捉えなかったのか」などと質問したが、回答は
「現在、原因究明中です」。つまりは何の対処もしていなかったことを明らかにしたのだ。