埼玉県川口市にあるS社の駐車場。吹きさらしの広大な空き地に高級車が並んでいる
車の貸し借りにはきなくささが漂っており、暴排条例等により自動車の購入が難しい反社会的勢力が、高級車に乗るための方法として利用していたのではないか。さらにS社がその行為に関与していた可能性も否定できない。
投資家への車の返却や、反社への貸し出し問題について、S社の代理人である芝琴平法律事務所に問い合わせたところ「
取材には一切応じていない」と回答を拒否した。加藤弁護士はこう話す。
「過去にはシェアハウス、最近だと持続化給付金と、時節柄ホットになっているものは詐欺に狙われやすいんです。今回、納車がされず、車検証もないにもかかわらずローンを支払っているケースもあり、そういう方に関しては詐欺被害者ということで、免責にできる可能性が高い、またS社のバックに反社会的勢力がいるという話も耳にしており、内情やスキーム、経営状態についても今後、裁判等で明らかになっていくでしょう」
詐欺的なカーシェア投資の全貌が明らかになるには、まだまだ時間がかかりそうだ。
今回、被害者からは「そもそも市場価格より割高な値段で高級中古車を購入・契約させられた」という証言も多々あった。週刊SPA!が調べたところ、被害者が買ったものと同車種・同年式の車が中古車販売サイトで100万~200万円安く販売されていたケースも。
そこで、ローン契約書に記載されていた情報をもとにS社と組んで中古車を販売していた業者を直撃した。
「ウチも被害者ですよ。というのも、信販会社から現在、
車のオーナーがローンを払わなければ販売店が立て替えろと何回も言われている。むちゃな話でしょ。ウチで販売した分は多くないですが、仕入れ値に整備代と利益を少し乗せただけです。軒貸し(売買時の名義貸し)もありましたが、販売価格が高すぎるとは思っていません。ただ、金利が高いのは気になっていましたが……」
この業者はS社から車両整備を依頼されたことで取引が始まり、中古車の仕入れやオーナーへの販売を行うようになったという。事業停止直前に購入した投資家に対しては、キャンセル料をこの業者が負担した上で解約を手伝い、被害者の相談にも乗っているという。
一方、S社のグループと目される中古車販売会社もあたったが、こちらは何度電話しても繋がらず。すでに営業を停止していた。
<取材・文/中山美里(オフィスキング) 写真提供/スカイカーシェアに投資した方々>