アフターピル薬局販売へ。服用経験者の声は? 間に合わず妊娠・中絶した女性も。

半休を取って病院に行くのは大変

 コンサルタントとして働く20代の女性は、アフターピルを服用したときのことをこう振り返る。 「予期せず、コンドームを使わないということが起きてしまいました。不安になり、翌日に病院に行ってアフターピルをもらいました。その時は、わざわざ半休を取って病院に行きましたね。働いていると、休みを取ったり、昼休みを使って病院に行ったりしなければならず不便だと思います。そのときは、アフターピルをもらうまでとても不安で落ち着かない気持ちでした。薬局で夜や出社前に購入できれば不安も減ると思います」  働く女性たちにとって病院の受診はハードルが高い。都内であれば、遅い時間でも緊急避妊薬を購入できる病院がいくつかある。しかしそうした病院にアクセスできなければ、望まない妊娠の可能性が高まってしまう。  また女性は、アフターピルの価格についても気になるという。現在、日本ではエラとノルレボという二種類の薬が利用可能だが、エラは9000円~1万数千円程度、ノルレボでも8000円~1万円程度する。 「アフターピルは値段が高いので、薬価が下がるといいと思います。私は少しでも安い方がいいなと思ったのでノルレボを服用したのですが、副作用で強い吐き気が出てしまいました。こういうとき薬剤師さんに相談できる体制が整っているといいなと思います。また、アフターピルだけでなく、低用量ピルも薬局で販売にするという選択肢はないのでしょうか」

「婦人科医は診療報酬を失いたくないのでは」

 物流業界で事務員として働く30代の女性も薬局販売への異論に首をかしげる。 「なぜ薬局での購入に反対する人がいるのかよく分かりません。婦人科医たちは、診療報酬を失いたくないから反対しているのではないかと思ってしまいます。反対意見は全て筋が通らないものばかりです。  私は、相手に懇願されてつい避妊をせずにセックスしてしまい、後から不安になってアフターピルをもらいに行ったことがあります。都心の夜遅くまでやっている病院を知っていたので数日以内に服用することができました。しかし医師の診察を受ける必要は感じませんでした。薬局で薬剤師さんから説明を受けられれば充分ではないでしょうか」  アフターピルの薬局販売について報道されるようになってから、「女性への性教育が必要だ」という声が聞こえるようになった。しかし今回の取材で、自ら進んで避妊せずにセックスした女性はいなかった。むしろ避妊を蔑ろにする男性が多く、若い男性への性教育が必要と言えそうだ。 「妊娠すると女性は生活が大きく変わってしまいます。在学中に妊娠して退学してしまったり、仕事との両立に苦しんでキャリアを追求できなかったり……。だからこそいつ妊娠するのか、子供を持つのかどうか、女性がきちんと選択できるべきです。そのための手段として低用量ピルやアフターピルがあるのに、偏見や医療制度のせいで利用できないというのはおかしいと思います」 <取材・文/HBO編集部>
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