出場者が、見知らぬ大人からアイドル視され、企業の利権にがんじがらめにされてしまっている今のミスコン。「革新的な運営」を目指したソフィアンズコンテストでも、これらの問題は解決しなかった。まずは原点に立ち返り「
学生の、学生による、学生のためのコンテスト」の開催を目指すことが重要ではないだろうか。
面白い例を二つ紹介したい。
早稲田大学の「早稲田王」と
フェリス女学院大学の「フェリスストロンゲスト」だ。
早稲田王とは、早稲田祭で開催される名物コンテストだ。大隈講堂前のステージで大勢の人が見守る中、出場者4人が早稲田王の称号をかけて、様々な難関に挑戦する。体中に鎖を巻いてそこから脱出を図る、カブトムシの幼虫を食べるなど、強烈な戦いを制したものが早稲田の王というわけだ。まさに学園祭で学生を沸かせるためのコンテストとして、多くの早稲田生から注目される。
フェリスストロンゲストは、ミスコンと似ているが「外見ではなく、フェリス生の内面を重視して表彰する企画」だ。なんと、そのために候補者たちは基本的に仮面を着用して活動する。学園祭のステージ企画でプレゼンやパフォーマンスを行い、来場者投票でグランプリを決めるそうだ。コンテストの名称が「フェリスで最も強い女性を決める」を意味していることからも、ステレオタイプなジェンダー観から距離を置いていることを感じさせる。
なお、この2大学ではミスコンは開催されていない。2つのコンテストがミスコンの問題点を完全に解決しているわけではないが、思い切った学内コンテストを開催することが実現不可能ではないことを教えてくれる。
「学生の、学生による、学生のためのコンテスト」が必ずしも典型的な大学のミスコンである必要はない。ジェンダー意識が高まる現代で、従来型のミスコンを守ろうとすることも適切ではないだろう。運営側は学生のためにどんなコンテストが出来るかを、学生側はどんなコンテストを求めたいかを、考え議論することが大切になってくる。新たな団体が全く新しいコンテストを作ることも望ましいだろう。多くの問題点があったソフィアンズコンテストも、新たな試みに挑戦したという意味では重要な前進だ。
<文/茂木響平>