「カリオカのトランプ」の異名を持つブラジルのボルソナロ大統領、トランプ敗北で大ショック

ライバルたちも首を狙い始めた

 一方、ボルソナロの次期大統領のポストを狙った動きが見え始めている。下院議長のロドリゴ・マイア、元大統領のルラ・ダ・シルバ、労働者党のリーダージロ・ゴメス、マラニョン州知事で共産主義者のフラビオ・ディノ、サンパウロ州知事ジョアオ・ドリアがそれぞれバイデンに祝辞を送っている。ブラジルと米国との関係の重要さを彼らは熟知しているからだ。その為にも新しい大統領に就任するバイデンを味方につけたいという意思が彼らに祝辞を送るようにさせたのである。  ジロ・ゴメスはバイデンの勝利は「自由民主主義の復活である」ことを強調した。ルラ・ダ・シルバは「バイデン氏の勝利を祝い、選挙戦で強調した人的価値を守る為に(ブラジル)国内だけではなくラテンアメリカそして世界でそれが指標されることに期待していることを私は表明する」と述べた。勿論、それを導くのはバイデンであるということを表明した祝辞である。ルラは左派であるが、彼が大統領であった時は米国とも上手く関係を維持していた。  ジロ・ゴメスはバイデンに祝辞を送ってブラジルには他にも進歩派がいることを知らせ、フラビオ・ディノはトランプの敗北に対して喜びを伝えた。  ジョアオ・ドリアは「バイデン氏は民主主義と多国間の関係の擁護者。米国にとってもそれは良いことであり、ブラジルにとっても同様である」と伝えた。  トランプ大統領からの支援がなくなるボルソナロ大統領を次期大統領選挙で破れる機会だと上記5名は見ているようだ。(参照:「Titulos」)  ボルソナロ大統領は2022年までに如何にしてバイデンとの関係づくりをしていくのかということが2年後の大統領選挙の行方のカギを握っているようだ。 <文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会