「カリオカのトランプ」の異名を持つブラジルのボルソナロ大統領、トランプ敗北で大ショック

南米で孤立しつつある「極右」大統領

 もっとも、英国BBCは専門家グループからの意見をまとめた内容によると、米国で民主党が勝利したことは、これから2年後に彼が再選されるというのは否定的なものとして捉えるられるようになる可能性があると指摘した。何しろ、ボルソナロは独裁者的な政治をしているようにも捉えられるからである。  また『フォーリャ・ジ・サンパウロ(Folha de Sao Paulo) 』は「トランプの敗北は右派連合を形成しようとするボルソナロの夢を決定的に葬り去ることになった」と指摘し、「ブラジルはラテンアメリカで殆ど友達がいない状態で歩むことになる」と報じた。(参照:『HispanTV』)  ブラジルの周囲を見渡してもコロンビア、チリ、パラグアイ・ウルグアイ・エクアドルが右派政権として存在しているが、チリのピニェロ大統領は国内情勢が不安の中で何とか持ちこたえているだけだ。当初、ボルソナロは大統領に就任した時に、それまでアルゼンチンを最初に訪問するという慣例を破ってチリを最初に訪問した。そのアルゼンチンの左派フェルナンデス大統領との関係は右派のマクリが大統領だった時に比べ非常に疎遠になっている。パラグアイ、ウルグアイ、エクアドルは南米において政治的に影響力は少ない。唯一、頼りにできるのはコロンビアだけになってしまったようだ。

バイデン政策で予想される軋轢

 またボルソナロの側近の中でもリカルド・サレス環境相を解任して別の人物を就けるべきだという意見もあるという。というのは、新しく米国大統領に就任するバイデンはアマゾンの保護について非常に重要な項目として挙げているからである。(参照:『Infobae』)  アマゾンの開発はブラジルの産業発展には必要だと考えているボルソナロにとって、バイデンのアマゾンへの干渉は受け入れられないとしているが、米国はブラジルにとってアルゼンチンに次いで第2番目に重要な貿易相手国である。その意味で、ブラジルの輸出のカギを握っている業界からはボルソナロの政治の方向転換を要求している。それが前述した環境相の交代を要求している理由だ。
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ライバルたちも首を狙い始めた
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