京都のラブホテルは何をウリにしている? 都心と郊外の違いからコロナ禍の影響まで <ラブホテルの地理学>

祇園の近くにある安井金比羅宮

祇園の近くにある安井金比羅宮。鳥居の脇と奥にはラブホテルの看板が顔を覗かせている。

ラブホとは無縁そうな古都で、ラブホはどう売り込んでいるのか?

 これまでの<ラブホテルの地理学>では大阪のラブホテルを扱ってきた。今回は少しエリアを変えて、筆者が住む街でもある京都のラブホについて紹介しよう。京都といえば神社仏閣の集まる観光都市。一見ラブホとは縁遠いこの街において、ラブホはどのように自らを売り込んでいるのだろうか。テーマは「ラブホテルの地理学」なので、やはり着目したいのは立地との関係である。ラブホは大きく分けると都心型と郊外型の2つがあるが、この違いは営業形態にどのような違いをもたらすのだろうか。  また、新型コロナウイルスの影響も無視できない。昨年までインバウンドバブルに沸いていた京都は、コロナ禍によって甚大な影響を受けることになった。それはラブホテルも同様である。コロナ以前と以後では、ラブホテルの広告戦略はどのように変化したのだろうか。今回の記事では、ラブホテルの広告文に着目することで、京都のラブホが何をウリにして営業を行っているのか、そしてそれはコロナ禍以降どのように変化したのかを見ていきたい。

関西最大規模を誇る京都南IC付近のラブホ街

 まずは、京都のラブホテルについて概観しておこう。次の図は京都市のラブホを部屋数と建物形式で区分して示したものである。 京都周辺のラブホテル分布 京都のラブホ街は、なんといっても京都南インターチェンジ(IC)の周辺である。京都南ICは名神高速道路のICとして1963年に設置され、その周辺には70年代から80年代にかけてたくさんの「モーテル」が進出した。風営法の改正によってワンルーム・ワンガレージ型の「モーテル」は規制されるが、その後も京都南IC周辺にはラブホテルの出店が相次いだ。  27軒ほどが集まる京都南ICのラブホ街は、全国でも有数の規模であり、大阪の郊外型ラブホ街と比べても圧倒的な数を誇る。これは、京都においては都心部へのラブホ建設が難しい上に、郊外のICの数が限られており、そのために限られた場所にラブホが集中せざるを得なかったためと思われる。詳しくは、以前筆者が書いた別の記事を参照いただきたい〈参照:なぜラブホテル街「関西最大」が京都に? ラブホ研究で話題の京大生が読み解く|まいどなニュース〉  京都南IC以外では、京都府北部へ向かう山陰自動車道の沓掛(くつかけ)IC付近や、京都市と向日市の境界にある羽束師(はづかし)周辺にもラブホテルの集積が見られる。どちらも郊外型ラブホテルの立地としてはオーソドックスなパターンだ。  中心市街地に目を移すと、歓楽街である祇園の周辺にいくつかのラブホが見受けられる。若者向けの店が多い河原町界隈にラブホがあるのはさもありなんと思えるが、「悪縁を切り、良縁を結ぶ神社」として知られる祇園の安井金比羅宮の周りにラブホテルが集まっているのには驚かされる。このあたりには花街の付帯産業としての「貸席」(時間貸しの座敷)が多く、それらが時代の変化に伴いラブホテルになったというわけだ。  これまでの記事で紹介した大阪の場合は、私鉄のターミナル駅周辺に都心型のラブホ街が形成されることが多かった。京都で言えば、阪急電鉄の終点・京都河原町駅や、京阪電気鉄道のかつての終点・三条駅の周辺がそれにあたる。しかし、大阪では駅の開業後に周辺が繁華街になったエリアが多いのに対し、京都では先にあった繁華街に後から駅ができたという違いが見られる。すなわち、京都の場合は駅とラブホテルの関係は大阪ほど強くはない
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ラブホの広告文の地理的な変化
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