多様性、党派間の協力、アメリカの魂と神……。ジョー・バイデンは勝利演説で何を語ったのか

Supporters Of Joe Biden Celebrate Across The Country, After Major Networks Project Him Winning The Presidency

Photo by Chris McGrath/Getty Images

 歴史的な投票率の高さ、飛び交うデマやフェイク・ニュース、そしてコロナショックと分断による極度の緊張状態のなか、ついにアメリカ大統領選が決着を迎えた。

「赤と青の州」からの脱却

 大統領選史上、最多得票で勝利したのは、ご存知民主党の候補であったジョー・バイデン。本稿では、そんな彼の勝利演説の注目点をご紹介したい。 「同胞であるアメリカ人、この国の民は声を挙げました。我々に明確な勝利をもたらしました。確信的な勝利、『我々が国民である』という勝利です。  我々はこの国の大統領選の歴史において、もっとも多くの票とともに勝利しました。7400万票です。私に寄せられた信頼と期待に謙虚な気持ちでいます。私は分断ではなく、協調を求める大統領になることを誓います。赤と青の州ではなく、団結した州が見える大統領です。  心から働き、すべての人の信頼を勝ち取る大統領です。なぜなら、それがアメリカをそうたらしめているからです。つまり、国民です。それが私たちの政権の目標です。  この執務室はアメリカの魂の再生を求めます。この国の屋台骨、中産階級を立て直すのです。  アメリカが再び世界から尊敬され、この我が家で皆を団結できるように。このヴィジョンに何百万人ものアメリカ人が投票してくれたことは、人生最大の名誉です。そして、このヴィジョンを現実にすることは、我々の時代の使命です。  素晴らしい副大統領と仕えることは、名誉です。カマラ・ハリス、あなたは初の女性、初のアフリカ系女性、初の南アジア系女性、そしてこの国の執務室に選ばれた初の移民の娘として歴史を作ります」  特に印象的なのは、「赤と青の州」というくだりだ。国民を単なる「投票権を持っている人」とみなし、色によって各州を「分断」するのではなく、同じアメリカ国民として見ていることが強調されている。この姿勢は今回の勝利演説全般に共通するものだ。意識せずとも視覚的に分断や対立が深まりそうなところ、あえてその色を想起させることで、その曖昧さ、無意味さを指摘しているのは見事である。

トランプ支持者にも呼びかける

 バイデンは続いても、さまざまなバックグラウンドを持った人たち全員に語りかけていく。そこにはトランプ大統領に投票した人たちも含まれ、キリスト教保守層に向けた、聖書への言及もあった。 「民主党、共和党、無党派層。革新派、穏健派、保守派。老いも若きも。都市部、郊外、農村部。ゲイ、ストレート、トランスジェンダー。白人。ラティーノ。アジア系。ネイティブ・アメリカン。  特にこの選挙戦が底にあったとき、アフリカ系アメリカ人のコミュニティが私のために立ち上がってくれました。彼らはいつも私を支え、私はあなたたちを支えます。私は最初から、アメリカを体現するような選挙戦を目指したいと言っていました。そして、それを実現できたと思います。  私が政権に求めているのは、それです。トランプ大統領に投票した皆さん、今夜の落胆はわかります。私もいくつか選挙に負けましたからね。しかし、今はお互いにチャンスを与えるべきです。卑しいレトリックを脇に置くべきときです。再び、お互いの話を聞くときです。進歩し、相手を敵のように扱うのはやめるときです。我々は敵ではありません。我々はアメリカ人です。  聖書は何事にも理由があると教えてくれます。建てるとき、タネを蒔くとき、刈りとるとき。そして、癒すとき。これはアメリカにとって癒やしのときです」
次のページ
たびたび使われた「戦い」という言葉
1
2
3
PC_middleRec_left
PC_middleRec_right
関連記事
PC_fotterRec_left
PC_foterRec_right