photo by 栄華
全国のパチンコ店から「
ミリオンゴッド~神々の凱旋」(以下、「凱旋」)が消える。
登場から6年、ファンから圧倒的な支持を受けてきた「凱旋」の魅力は何と言っても他の遊技機の追随を許さない出玉の爆発力。一撃2万枚(40万円相当)の実戦データもあり、パチスロファンにとっては真にハイリスクハイリターンを形にしたような夢多き遊技機の代表格でもある。
しかしギャンブル等依存症対策の一環により、2018年2月に遊技機の射幸性(≒ギャンブル性)の抑制を目的とした遊技機規則等の改正が行われ、それ以前に設置されていたいわゆる
「旧規則機」の撤去が決まった。すべての旧規則機は都道府県公安委員会が定めた設置期限を迎えた段階で、有無を言わず撤去されなくてはならなくなった。またこの規則改正とは別に、パチンコ業界独自のギャンブル等依存問題対策として、2万枚以上の出玉実績のある遊技機を「高射幸性遊技機」と規定し、全国のパチンコ店は段階的な撤去を推進していた。
このような施策が実施され、数々の旧規則機・高射幸性遊技機が撤去されていくなか、遂に「凱旋」が撤去の期限を迎える事になったのだ。撤去の期限は都道府県により異なるものの、11月1日の石川県から始まり、11月の中下旬にかけて定められている。(※大阪府のみ12月下旬から1月中旬にかけて撤去予定)
Twitter等のSNSではパチスロファンによる、別れを惜しむ「凱旋卒業式」投稿が多く見られるようになったが、この「凱旋」の撤去を巡っては、パチンコ業界にとっても様々な事情が交錯しているようで-
「凱旋」はこの6年間、パチンコ店の粗利を支え続けた営業の主軸であった。一説によれば、「凱旋」の台毎の日
粗利は平均して5000円~6000円と言われている。この粗利を6年間稼ぎ続けてくれた遊技機が撤去される。規則等の改正により新たに設置が出来るパチスロ機は「6号機」と呼ばれるもので、既に市場に多く投入されている6号機の平均台粗利は1日2000円~2500円程度である。稼働(人気)に比例して伸びる売上は勿論のこと、営業上は売上よりも大事な
粗利が5~6割程度削られるのだ。
ましてコロナ禍によりパチンコ店の集客や稼働は著しく低下している。「凱旋」の撤去は、パチンコ店にとって泣きっ面に蜂。
「現行機で『凱旋』に勝る遊技機は無い。『凱旋』が撤去されれば、パチスロの業績は大きく下がることは火を見るより明らか。年末のリニューアルのタイミングで、(パチスロ島から)比較的好調なパチンコ島への転換も考えています」というのは都内のパチンコ店店長の言葉。
「凱旋」との別れを惜しんでいるのはファンだけでは無い。いやファンよりもパチンコ店の方がその別れの辛さを奥歯で噛み締めている。