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日本学生支援機構によると、48.9%もの学生が利用しているとされる奨学金(数値は16年、同機構「学生生活調査」より)。
我が国で奨学金とは借金と同義で、借りるだけ返済額も大きくなりますが、様々な事情で満額利用する人も。今年春、慶応大学を卒業した小鷹弥生さん(仮名)もそんなひとりです。
東北で生まれ育ち、現在は東京で働く彼女。大学卒業から半年が経ち、返済が始まる前のタイミングで、その心境を聞きました。
ーー最初にいくら奨学金を借りたか教えてください。
小鷹:第1種(無利子)が307万2000円で、第2種(有利子)が576万円。なので合計して883万2000円……およそ900万円弱ですね。私の場合は両方とも4年間、満額借りてるんです。正確に言うと第1種が6万4000円、第2種が12万円で、ふたつ合わせて毎月18万4000円です。
ーー月々の返済金額はいくらでしょう?
小鷹:第1種が1万2800円、第2種が2万4177円なので3万6977円……およそ4万円弱ですね。240回払いなので20年ですね、ちょうど。ちなみに返済は来月から始まります(取材は9月)。
ーー小鷹さんは東北出身とのことですが東京の大学を選んだ理由は?
小鷹:もともと東京の大学に行きたい、上京したいという気持ちが強かったんです。なので、行きたい学部があったというワケではなく、高1くらいまでは国立に行こうか迷っていました。親にも「国公立に行きなさい」と言われてましたしね。
でも、「7教科を中途半端に勉強するよりは、3教科に絞ってもっと上の大学に行きたい」という気持ちから慶応を目指すことにしたんです。まあでも、なんとなく国立より私立のほうが『憧れのキャンパスライフ』ってイメージがあったのも正直ありますね。
ーー家庭環境的に奨学金は必須だったんでしょうか?
小鷹:そうですね。親と話した結果、「
東京の大学に出るなら生活費は出せない」「
学費も半分だけしか出せない」と言われました。より具体的な数字を出すと、年間約130万円の学費のうち、親が70万円を出してくれていたという感じです。
その後、満額の奨学金を借りて慶応大学に現役で入学した小鷹さん。奨学金を満額借りつつ学生生活を送ることになる。
ーー在学中のバイト事情は?
小鷹:当然してました。大学がある期間は週3程度で、最初のほうは朝6時から8時までカフェでバイトして、その後に授業に出て、みたいな。夏休みになるとほぼ毎日。朝の9時から夜の24時くらいまで働いていました。朝の9時から夕方まではサービス業で働いて、18時から24時までは飲食業みたいな感じですね。
でも、そんなにしんどいなと思った記憶はないんです。ちゃんと寝る時間はあったし、不眠不休で働いてゼミの課題に追われて…というほどではなかった。
ーー生活は苦しかったですか?
小鷹:いえ、苦しいと思ったことはないんですよ。食べたいものを食べて、欲しいものがあったら買ってましたし。なので世間がイメージするような苦学生という感じではなかったです。そこは奨学金のおかげですよね……。
ただ、長期休暇に友達同士で旅行に行くとかはなかったです。夏休みにまとめて働いて稼ぎたかったというのもあるし、誘惑が多い季節だから、バイトを入れることで散財を防いでいました。長期休みでなくても、友達の遊びに参加しないことも多かったです。