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経済面でも多くの人に大打撃を与えた、新型コロナウイルスの感染拡大。特にライブハウスやクラブの苦境を伝えるニュースは多かったが、クラブで開催されるMCバトルも大会の開催が不可能になり、大きな損害を被った。「戦極MCBATTLE」主催・MC正社員の当連載では、前回の記事からコロナ禍でのバトルシーンの振り返りを実施。今回は緊急事態宣言明け以降のイベント再開について語ってもらう。
まず、MC正社員が主宰する「
戦極MCBATTLE」のここ半年のコロナ禍での開催状況を確認しておこう。
コロナの時期の「戦極MCBATTLE」開催状況
・2月1日 『U-22 MCBATTLE 3on3 SP 2020-キャラ立ち3本マイク-』Circus Tokyo
・2月15日 『戦極MCBATTLE 第21章 -TOP RANKAZ 2020-』Zepp DiverCity
・2月26日 『戦極学園 in 渋谷Subciety 2月度』渋谷Subciety
・3月5日【無観客で開催】『戦極春のファン感謝祭』CIRCUS Tokyo
・3月25日 『戦極学園 in 渋谷Subciety 3月度』渋谷Subciety
・4月5日【中止】「戦極MCBATTLE 修羅への道福岡大闘技杯』 福岡Kieth Flack
・4月11日【中止】『戦極令和二年杯』club bar FAMILY
・5月6日【中止】『U-22 MC BATTLE 2020 TOKYO CHAMPIONSHIP』Zepp DiverCity
・7月5日『戦極MCBATTLE U-22 MC BATTLE REVENGE SPECIAL 2020』CLUB CITTA’
・7月25日 『戦極Battle League 1 自粛からの復活編』CIRCUS Tokyo
・8月10日 『戦極MC 西の16人選抜 2020』大阪 TRIANGLE
・8月15日 『戦極Battle League 2 -我々は抵抗する編- 』Circus Tokyo
・9月19日 『戦極甲子園』Circus Tokyo
・9月20日 戦極Battle League 3
・9月27日 9/27 U-22 MCBATTLE 秋の祭典 -vs OBs Dream match 2020-
政府が緊急事態宣言を出していたのは4月7日~5月25日まで。その期間は「戦極MCBATTLE」を含めて
国内の大半のイベントやライブが中止になっていた。当時のライブハウスやクラブの窮状はニュースで目にした人も多いだろう。
「ライブやイベントを開催するハコでは、
コロナ後に廃業したところもありますし、今も
全てのハコが危機的状況だと思います。4月、5月は
売り上げゼロで家賃や人件費ばかりが出ていく状況でしたし、営業再開後も感染拡大防止のガイドラインに従うと、キャパシティの10分の1程度しかお客さんを入れられなかったりしますから。渋谷のハコのオーナーが
億単位の損害が出てるって話も聞きましたね」
そのような状況下で、「戦極MCBATTLE」はイベントの開催を7月から再開。第一弾は、7月5日の「戦極MCBATTLE U-22 MC BATTLE REVENGE SPECIAL 2020」(CLUB CITTA’)だった。
「このイベントは、『
真・ADRENALINE』『
凱旋MCbattle』という2つの人気バトルイベントとのコラボで、
3週連続生配信でMCバトルを開催するものでした。開催してよかったですけど、客席の人数が大幅に絞られて、
ほとんど声も出せない状況でのバトルは、やっぱり普段とぜんぜん違う難しさがありました。客席の盛り上がりがないとMCバトルの面白さは削がれてしまいますから」
なお「戦極MCBATTLE U-22 MC BATTLE REVENGE SPECIAL 2020」では、下記4種のチケットを用意していた。この狙いは何だったのか。
A.オンライン有料配信チケットのみ:1980円
B.オンライン配信チケット+DVDお得セット:4980円
C.現地チケット+DVD:9980円
D.最前VIP席+DVD5本+レア限定商品:1万9980円
「キャパシティを絞ってイベントを開催するには、
有料の配信を行うことや、現地の
チケットの値上げが必要です。でも、ただ現地のチケットを値上げするだけでは、現地に来るメリットが薄くなってしまう。なので
DVDを組み合わせることにしました。
あとイベントを有料で生配信をするなら、
きちんとしたカメラを用意して、高いレベルの映像を見せるのが絶対条件。それができないと
有料配信は大コケしますし、実際に失敗したイベントもたくさん見ていますから」
戦極MCBATTLEが有料配信やDVDを組み合わせて活動再開できたのは、
大会の撮影やDVDの作成・販売、You Tubeへの配信等のノウハウが元からあったためだ。近年の「戦極MCBATTLE」はYou Tubeへの配信と、そこでの広告収入が事業の柱のひとつ。「
過去の遺産があったからこそ、『戦極MCBATTLE』はコロナの状況でも生き残れた」とMC正社員は振り返る。
「感染が拡大していた時期は、
YouTubeに過去の大会の動画を毎日新規でアップしていたので、
再生数は普段より伸びていたくらいでした。DVDの売れ行きや有料アプリ(月額360円)も幸いなことにそんなに減らなかったですね。
あと、このコロナ禍では、有料配信を行なうイベントが増えて、そこにお金を払う人も増えました。
イベントがごく普通に開催できる状況に戻っても、現地チケット+有料生配信の組み合わせは継続していく予定ですし、こうした世の中の変化をイベント運営に活かさない手はないと思います」