「買い手の表情」で出方を変えれば商品は高く売れる!? 微表情分析で有利に進める交渉術
買い手の表情―感情に合わせて売値を変動させる
Aは、眉が引き上げられ、目が見開き、上唇が引き上がる表情をしています。これは驚きと嫌悪の混合表情です。驚きは、予想外の事態に遭遇したときに生じ、嫌悪は、不快を感じたときに生じます。買い手は、3,000円を予想外かつ不快な価格と感じており、買い手のバトナは3,000円よりかかなり下にあるのではないかと推測できます。交渉を進めるには、値引きアプローチです。
例えば、「あくまでも定価ですので、もちろん、値引きさせて頂きます。2,800円でいかがでしょうか?購入量によってはさらに値引きさせて頂けます。」と言い、2,800円でも買い手のバトナに届かないときの予防策として、購入量による値引きもあり得るということを付け加えておきます。
Bの場合だったらいかがでしょうか。Bは、口角と頬が引き上げられ、唇に力が入れられています。これは幸福を抑制した表情です。幸福は、現状が快適なとき、続いて欲しいときに生じます。抑制は、自分が価格に満足していることを隠し、値引き交渉に持って行くために生じたのだと推測します。買い手は、3,000円を適正価格だと感じており、買い手のバトナは3,000円以上だと推測できます。アプローチは、価格維持でよいでしょう。
買い手が満足したところへ、さらに値引きをして継続的な顧客になってもらう手も
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役・防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16・19」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。
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