スペイン、ついに2度目の非常事態宣言。スペイン在住記者が感じたこと

スペイン全域でWHOの感染危険地域水準の感染者数

 コロナ感染者の急増を抑えるには人と人の接触をできるだけ避ける以外にそれに勝る手段はない。感染規模という面について、スペイン紙『El País』で各自治州の直近2週間の感染状況を掲載しているが、牛追い祭りで有名な行事があるナバラ州は10万人当たり1000人の感染者が出ているというのである。  世界保健機構が定めている10万人につき120人以上の感染者のいる地域は感染危険地域とされている。スペインは全域で120人を大きく上回っている。しかも、大半の自治州で100%以上の増加である。最高はスペイン北部中央のサンタンデールを首府にするカンタブリア州で190%の増加となっている。  また、死者も毎日140人近くとなっている。3月から4月にかけては日毎900人近くが死亡していたのに比較して少ない死者数であるが、それでもコロナで100人以上が毎日死亡しているというのは異常でしかない。

経済への打撃か、非常事態宣言か

 感染学者ら専門家の間では9月当初から非常事態宣言を発令すべきだと政府に要求していた。しかし、政府はそれをぎりぎり迄引き延ばしたように思える。というのも、例えば、パブ、ディスクテイク、ナイトクラブなどに従事している企業は2万5000社あるとされている。そしてこの業界で27万人が雇用されている。また飲食店だと全国に27万8000軒、170万人が雇用されているとされている。(参照:「OK Diario」、「El Mundo」)  前回のような厳しい非常事態宣言を発令すると、飲食店やホテルを始め観光業に関係したサービス企業の多くが破たんする可能性が高い。そうなると、経済の更なる後退は必至で失業者も急増し政府の失業手当金などの支給で財政も圧迫される。  しかし、その一方でこのまま何もせずにコロナの感染を拡大させていくこともできない。ということで、サンチェス首相はこの宣言の発令を最後の最後まで待ち、規制も前回よりもかなりゆるやかなものになっている。コロナウイルスはそのように人間の気持ちなど理解せず容赦なく感染させている。果たして、夜の移動制限を新たに設けただけで感染を抑えることができるのか疑問もある。専門家の間ではそれでは不十分だという意見だ。
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