古賀:もうひとつ、「弱い人」を前提とした霞が関改革のメニューがあります。それは内部告発制度の改善です。企業の不正行為を内部の社員が公益目的で通報した場合、その身分が保護される「公益通報者保護法」などが整備されていますが、省庁の場合、その窓口はだいたい大臣官房にあるんです。一応、監察官もいて秘密厳守という建前になっていますが、そんなことを信じる職員はいません。霞が関の文化では内部告発は裏切り、反逆なんです。告発したら最後、出世なんてありえない。
相澤:別の中立公平な窓口が必要となりますね。
古賀:私は、日弁連はどうかなと思っているんです。告発窓口を日弁連内に設けて、政府が予算を支出するけど、独立性と秘密性は日弁連が担保する。法律家の集団だし、これなら公務員も安心して通報できるはずです。
相澤:ああ、実は僕もそれは日弁連くらいしかないと考えていました。ぜひ、そのアイデアを実現させたいですね。
相澤氏と赤城雅子さんの共著『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?」(文藝春秋)
【相澤冬樹】
1962年生まれ。宮崎県出身。東大法学部卒、87年NHK入局。2017年、東住吉冤罪事件を扱ったNHKスペシャルで取材を担当。18年、森友事件の取材の最中に記者職を解かれNHKを退職。著書に『
安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』、赤木雅子さんとの共著『
私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』(ともに文藝春秋刊)
古賀茂明氏の新著『日本を壊した霞が関の弱い人たち』(集英社刊)
【古賀茂明】
1955年生まれ、長崎県出身。東大法学部卒。元経済産業省の官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官など改革派官僚として活躍したが、当時の民主党政権と対立し2011 年に退官。テレビ朝日「報道ステーション」コメンテーター、大阪府市統合本部特別顧問など政策アドバイザーとして活躍。『
日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任』(集英社刊)が発売中
<構成/姜誠> <撮影/榊智朗>