南米ウルグアイ、人口僅か370万人であるが、国土は日本のほぼ半分の面積。この国で2010年から2015年まで大統領を務めた
ホセ・ムヒカが今月20日、上院議員を辞任して政治の世界から引退したことは日本でも報じられた。アルゼンチンとは兄弟国のような国であるが、アルゼンチンが無駄使いの目立つ国であるのに対し、ウルグアイは
倹約を信条とする国としてよく知られている。
その倹約振りを表明するかのように、その翌日21日には大統領専用機が売却された。機種はホーカーHS125-700A、8人乗りで4時間半の飛行が可能。現大統領の
ルイス・アルベルト・ラカリェがそのような維持費だけでも無駄使いの専用機など必要ないとしてその売却を決めたものだ。
ムヒカ元大統領も専用機の購入には反対で、最も貧しい大統領だった時は「ウルグアイに専用機は必要ない」という主張を繰り返して国内を移動する時は良く軍隊のヘリコプターを利用していた。夜の移動の場合は道路事情が良くないので飛行機をチャーターする場合もあったという。それが重なると経費も高くつくようになっていた。それでも大統領の時のムヒカはできる範囲で経費の節約に調整して行ったそうだ。
外国を訪問する場合も彼は高齢ではあるが、
エコノミーのフライトを探していた。時に、外国の指導者が飛行機を手配してくれていたそうだ。故人となったベネズエラのウーゴ・チャベス前大統領は彼をピックアップするのに何度もチャベスの専用飛行機をウルグアイに行かせたそうだ。ブラジルの場合も同様で、ジルマ・ルセフ元大統領そしてアルゼンチン元大統領で現副大統領のクリスチーナ・フェルナデスも彼をピックアップするのに専用機を彼のもとに送ったという。
我の強いクリスチーナ・フェルナデスと2013年に嫌悪な関係にあった時、ムヒカは彼女に立腹して彼女を指して「あの婆は(ネストル・キルチネール元大統領よりも)ひどい奴だ。(ネストルを指して)あのひどい奴は(彼女を指して)このひどい奴よりもっと政治家だった」と記者会見が終わった後、私的にそれを口にしたという(※ネストルとクリスチーナは夫婦)。
ムヒカのこの陰口は、彼女に伝わっていたようで、チャベスが南米諸国連合の会議をチリの首都リマで急遽することになった時に、ムヒカにはリマまで行ける便がないということを知っていたフェルナンデスは彼女の専用機タンゴ01を手配してムヒカをリマに送った。その時、彼女が言ったのは「その通り、私はひどい奴でしかも婆だ。それでも爺を(リマまで)連れて行けるというのは幸運だ」とリマを訪問した後に語ったそうだ。(参照:「
El Pais」)
当時の南米は反米左派政権の国が多くあった。ベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、ボリビア、エクアドルといった国々だ。